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2015.09.05

オリンピックのエンブレム問題に思うこと

ここしばらくネットやニュースを賑わせていた、この問題。
結果的にデザイナーの佐野氏がデザインを取り下げ、ネットで彼を非難・追求していた民は「ネットの勝利」としたそうですが・・・。

佐野氏がデザインをとりさげた理由は、決して「盗作だったから」ではなく、「家族・関係者に迷惑がかかるから」とのもの。
実際に嫌がらせなどが発生していたようです。
であれば、これは「ネットの勝利」ではなく「卑劣な犯罪者の勝利」です

だって、デザインを取り下げさせたのは、正しい法的な根拠ではありません。彼の家族・関係者に嫌がらせなどをした犯罪者たちです。

これは非常に恐ろしいことだと思います。

一応過去にデザイナーの端くれだった経験から言って、少なくとも現時点で判明している限りでは、あのエンブレムデザインは盗作ではありません
偶然似たロゴが世界のどこかに存在しているのはごく当たり前のことで、あのベルギーのデザイナーの言い分などは、正直「ゴネ得」を狙った、完全な言いがかりだと思います。
ロゴというのは、0.1mmの違いが大変な違いになるようなシロモノで、あそこまで違ったら完全に別物です。

漫画やアニメで例えたら、「ひぐらしの鳴く頃に」と「けいおん!」の絵は似てるので、「けいおん」は「ひぐらし」の盗作だ!と言っているくらいには、めちゃくちゃな話です。
たとえば現在60代以上の、まったくアニメを観ないおじいちゃんおばあちゃんにとっては、「ひぐらし」も「けいおん!」も同じ絵に見えても仕方ないかもしれません。でも、多少なりともアニメや漫画を見る人にとっては、そもそもストーリーからして全然違うし、絵柄だって大分違うのがわかりますから、「は?何言ってんの?」って話になりますよね。
ホント、そういうレベルの話なんですよ、コレ。

佐野氏のデザインを批評するときに、第一回東京オリンピックの亀倉雄策氏のロゴデザイン(デザインを学ぶものなら嫌というほど見させられるデザイン)と比較されますが、佐野氏のデザインがパクりなら、亀倉氏のデザインなど、日本国旗そのままでパクり以前に「まんま転載」です。でもそうじゃない。それがデザインの世界です。
※このへんについてはこの記事下部にちょっと詳しく書きます。

こういうことはデザインを手がけている人間なら誰でもわかることですので、ベルギーのデザイナーが法的に訴えようなどというのは、「多少でも金がとれたらラッキー」という発想からとしか思えません。訴訟乞食とでもいいますか。「とりあえず訴えてみる」という海外的な発想だと思います。

私が驚いたのは、そんな多少なりとも業界知識のある人間なら、「こんなくだらないことマジで言う人間がいるんだ」と鼻で笑う程度の話が、日本のマスコミで堂々と取り上げられ、さも大問題かのように報じられたことです。
そしてそのせいで、「とにかく調子乗ってるヤツは叩きたくてたまらない」くだらない人間たちが、そこに食いついて、一斉に佐野氏のあら捜しを始めた。

正直、トートバックの件は真っ黒なので、あれはまずいと思います。ああいうことがあれば、「一事が万事」で、「そういうことをする人間なのだ」という印象がついてしまったのは否めないでしょう。
でも、だからあの件はすぐに認めて謝罪しましたね。
ですので、「盗作問題を起こした事務所を経営するデザイナーが、オリンピックのロゴデザイナーをやるのは、対外的にイメージが良くない」等の理由で、彼がはずされるなら、まだわかるのです。
でも、そうでもなかった。

何の、きちんとした根拠もないまま、ネットを通して彼の「叩き」が横行し、それが実際の嫌がらせに発展し、そういう「犯罪者」に屈する形で「やってられない」と彼はおりたわけです。

これは要するに「叩いたもの勝ち」ということです。

私はネットで彼を叩いた人が悪いとは思いません。無知か馬鹿だとは思いますけれど。彼本人や家族関係者に嫌がらせをした人間については、程度によりますが「犯罪者」だと思います。また、「叩けそうなヤツはとにかく叩いて楽しむ」という下劣な人間たちが「勝利」してしまう、今の日本の世論や世相もどうかと思います。

ただ、それより何より、その嫌がらせに屈して、デザインを取り下げてしまった彼と、彼を守りきれなかったマスコミやデザイン関係者に対し、非常に不安に思います。

佐野氏は、嫌がらせをしてくる人物がいるなら、きちんと法的対処をするべきだったのです。変なゴネ方をしたベルギーのデザイナーにも、即話をつけにいくべきでした。
そして、盗作ではないなら、堂々と「盗作ではない。何の問題もない。訴えるなら訴えればいい、こちらが勝つに決まっている」という態度で向かい続けるべきでした。

これができないのは、おそらく佐野氏だけではありません。
今の日本人…、特に40代前半以前の、比較的若い世代は、ほとんどそうではないでしょうか。
「きちんとした対処」をとれないんです。法的に訴えたり、警察に連絡したりということをしない。
そりゃ、そっちの方がずっと大変ですからね。佐野氏もこれ以上騒ぎが続いても、自分に何も良いことはないと踏んで、取り下げたのでしょう。

そして、マスコミもそれを「いい迷惑だった」みたいに終わらせようとしていますが、佐野氏が取り下げる本当の理由「嫌がらせ」については追及しないままです。
本来そちらの方がよほど問題ではないですか?正規の手順で選ばれたオリンピックのロゴデザイナーが、言いがかりに近い盗作疑惑をかけられた挙句、犯罪者による嫌がらせで失脚させられたんですよ。かかる税金だってハンパじゃない。
自分たちが撒いた種の結果がこれです。その反省もなしですかと言いたいですね。

今回の佐野氏のデザイン取り下げを、笑ってみていた「勝利」側のネット民も、笑っている場合ではないと思います。
なぜなら、今回の件は「多少似ていれば、非常識な誰かが勝手にパクり認定し、それをマスコミを拡散し、誰でも叩く馬鹿どもが相手が折れるまで叩き続け、最後は犯罪に近いことをやって失脚させる」ことが、「正しいこと」であるかのように、堂々とまかり通ることが証明されたからです。

特にここを読む人なら、漫画やイラストを描く人が多いと思いますが、人事ではないですよ。いつ自分がそういう目にあうかわかりません。
盗作なんかしないから大丈夫ですか?でも今回の佐野氏だって、少なくともエンブレムデザインについては盗作ではないですよ。
最近は「似てる=パクり」と思い込むような、おつむの弱い人間も増えていますから、どこでどんな言いがかりをつけられるかわかりません。
上記の「ひぐらしはけいおんの盗作!」って例が冗談じゃなくなってくるわけなんです。

今後もしTPP関係で、著作権侵害が親告罪でなくなった場合、今心配されているのは、日本の二次創作業界ですが、そういう元から黒に近いグレーみたいなものだけではなく、本来真っ白である、一次創作物についても危険になると思います。
海外・・ま、特に米国など訴訟社会ですからね。
日本の「ハンコ絵」と呼ばれる、いわゆる萌え絵など、全部パクりに見えると思いますよ。日本の萌え美少女絵なんて、どれもこれも、少なくともベルギーのあのロゴと、あのエンブレムよりはずっと似ていますからね。萌え絵師100人集めた展覧会を見て、「全部同じ人の作品かと思った」という感想もありますから、詳しくない人にはその程度のことなんです。

そういう詳しくない人が突然「あなたの絵は、私が好きなイラストレーターの○○さんのパクリなので、訴えます」と言ってくることだってあるんです。実際、いきなり訴えられることもあるかもしれません。
もし、訴えられた人が、ある程度知名度がある人ならば、面白がって今回のように、パクり認定して喜ぶ馬鹿どもが必ず湧きます。
そういう人たちは、本当に盗作かどうかなんて、どうでもいいんです。自分より上にいる成功している人間を、引きずり落として笑いたいだけですから、あなたがいくら身の潔白を叫んでも、通用しません。白か黒かはどうでもいいんです。叩ければ。

さらに恐ろしいのは、そういうテロに等しいような「パク認定」を恐れて、クリエイター側が過剰な自粛、萎縮をしてしまうことです。

この記事に書いたように、日本の漫画はもちろん、他の分野も基本は「パクりパクられて」発展してきたものです。もちろんオリジナルの権利も守らなければならないので、著作権保護の法律があるわけです。
その法律の中であれば、(まあたまに変な判例もありますけど)自由であるわけです。二次創作なんか法律違反ですが「黙認」という日本らしい慣例で、非常にオタク文化を盛り上げてきました。

普段叩く側…今回の「勝利者」らしいネット民のみなさんも、日本のアニメや漫画、ゲーム、その他デザイン等のコンテンツを愛している人は多いのではないですか?今回の「勝利」はその発展を差し止めるような出来事なんですよ。

ただでさえ若いクリエイターには極端にパク認定を恐れ、心配ないようなものまで自粛してしまうケースがあります。それより怖いのは出版社など版元が萎縮して過剰に自粛してしまうことです。アニメやゲームファンのネット民はそれを普段あんなに嘆いているではないですか。
でもなぜそういう過剰な自粛や萎縮が起きるかというと、それは「面白がって何でも叩く」人たちが存在するからです。
本来、クリエイター側は叩かれても毅然として、説明責任を果たすべきです。外国人だと叩かれても問題にもせず、けろっとしていますよ。でも日本人には、どうもそれができないようで、「出る杭は打たれたら二度と出ない」状態です。

でも、そういう無知な人や、卑劣な人に、ちゃんと対応していける力がなければ、日本のクリエイターは叩かれるがままに、退場していくしかありません。訴訟社会に慣れておらず、「空気を読んで謙虚」な日本人の美徳が裏目に出る形です。

今回の件で、マスコミには本当に幻滅しましたね。こういう危機感は、本来マスコミがちゃんと報道するべきではないですか?
馬鹿と一緒になって叩いてどうすんだ。
日本は資源に乏しい、人材だけが頼りの社会です。クールジャパンという言葉もほぼ死語になりつつありますが、コンテンツ産業で稼がなければならない国なんです。
その日本のクリエイティヴコンテンツの危機ですよ。マスコミがそれを先導してどうすんですか。

なお、私は別に佐野氏を擁護するつもりはありません。少なくともトートバッグはダメだった。ああいうのが一件でもあるとダメでしょう。
でも、それとこの問題とは別なのです。

国の威信をかけたロゴが、きちんとした法的根拠で判断されることなく、最終的に国内の暴力で排除されてしまった、そういう大変な問題なのです。

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佐野氏のロゴがなぜ盗作ではないかについては、ちゃんとした説明をしている方がいましたので、そのURLを記します。
私は正直、ここまでの思考経路はありませんでした。いやこんな理屈練らなくても、ぱっと見て「問題にならないくらい違うデザイン」じゃないの。あれが盗作に見える人って、どんだけ世間で物を見てない人なの??生まれてからロゴなんてほとんど見たことない人なの?と思いましたが・・・。
でもそう感じたこと自体が、一応はデザインをかじったことがある身だったからかもしれません。

http://bylines.news.yahoo.co.jp/takayukifukatsu/20150907-00049112/

ただ、なぜデザイン業界がきちんと説明責任を果たさなかったは少し想像がつきます。

第一には「説明の必要を感じなかったこと」だと思います。
数年デザインをかじっただけの私でも、「問題にならない」と感じたレベルのことです。何十年もあの世界にいる方々が、「とるに足らないこと」と考えても、何の不思議もありません。
「え?こんだけ違うのに、なに馬鹿なこと言ってんの?説明??いらないよね??」
多分、こういうことだったんだと思います。

第二には「きちんと説明しようとすると素人には理解できない(理解しようと思えない)」ことだと思います。
上記URLにも書いてあるようなことになります。正直、あの記事を読んでもわからない人にはわからないと思います。ただはっきりわかるのは「デザイナーのロゴに対する考え方は、一般人のそれとは違う」ということではないでしょうか。

実は、ロゴというのはグラフィックデザインの中でも一番といっていいほど難しい仕事だと個人的にですが、思っています。
だからこそ、大企業はロゴに億単位のお金をかけます。単純に「見た目かっこいいならいいじゃん」ではないのです。
私も、すみませんが、ここできちんと説明できません。数年かじった程度の自分には到底素人にわかるように説明なんてできません。私にだってわかっているのは「すごく難しいものだ」程度のことです。
まして、全世界全体に、何十年後にまで残るエンブレムとなると、素人どころかそのへんのデザイナーでは理解できない範囲のことが含まれていてもおかしくありません。

それを一般の人に理解できるように説明というのは、ほぼ不可能だと思います。

これは別にデザインが「素人のおまえらにはどうせわからねーんだよ」と大上段に構えていたからというより、どの業界でも素人に説明するのはすごく大変&そもそも説明の必要ないことってありますよね?そういうことだったのだと思います。

http://togetter.com/li/868979

上記のURLより、素人さん(プロも中にいるのか?)のロゴ案が出ていますが・・・。正直、この中でオリンピックエンブレムとしてはもちろん、そもそもロゴとして使える案自体、半分もありません。それくらいは私レベルでもわかります。詳しい解説はURL内でいろいろな人が言っていますので避けますけれど、とりあえずモノクロと縮小のことくらい考えろと思いますね、ホント。あと外国人が見たときどう思うかまったく考えてない人多いな。
そういうレベルでも当然素人とプロの差はありますが、オリンピックエンブレムとなると、もう本当に、多種多様な面からの考慮が必要なんですよ。

とはいえ、あそこまでマスコミが炎上させたなら、さすがに説明は必要だったと思います。

少なくとも、素人判断では不明なところまで考慮しなければならないこと、少なくとも劇場ロゴの盗作の可能性は0であることについては、明確な説明が必要だったでしょう。

なぜ佐野氏本人はもちろん、デザイン業界はそれをしなかったのか・・・したけどマスコミが取り上げなかったのか・・・。

そこは腑に落ちません。
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2012.04.12

盗作その他著作権上の問題

インターネットが普及し、検証が容易になったせいもあってか、必要以上に「パクリ」に過敏になっている人がいるように思います。


しかし、漫画に限らず創作というのは、既存の作品の影響はまぬがれないものです。
誰も見たことがない完全に新しいもの、というのは逆に読者には受け入れられないでしょう。
なので、「既存作品の影響を受けてはダメ」などということはないのです。


でも、その作家オリジナルの創作部分より、「既存作品に似てる」部分の方が勝ってしまうと、「なんか見たことある」「マネじゃないか」となってしまうわけです。


もちろん「偶然似てしまう」こともよくありますので、どこからが「盗作」なのかの線引きは微妙で、極端な話、裁判で争って決めるような場合もあります。


なので、志望者の段階からあまり厳密に考える必要はないのですが、一応、決める基準としては、


・読んだ人が元ネタを特定できるかどうか(もちろん元ネタを知っている人が見た場合です)


だと思っていいと思います。


「このシーンて、あの漫画の●巻のあのシーンそのまんまだよね」とズバっと言われてしまうようなら、ちょっとヤバいという感じですね。


とは言え、それが「特に際立った個性のない、よくあるポーズ・モノ」なら、たとえ見た人が「このキャラってあの漫画のあのキャラに似てない?」と思ったところで、必ずしも盗作やパクリになるわけではありません。


例えば「ツインテールにセーラー服の女の子」なんてキャラは山のようにいますので、そういうキャラを描いて、たまたま既存のキャラに似てるからといって、盗作疑惑をかけられることはありません。(もしかけられたとしても言いがかりなので気にしなくていいです)


でも、「ツインテールにセーラー服で、額に炎のタトゥが入っていて、背中に日本刀を背負っていて、足元はゲタで、異次元を行き来する能力があって、美少女に見えるけど実は男で40歳」くらいになると、「偶然全部一緒になる」という可能性は限りなく低くなります。


そうなると「パクリじゃん」と思われるかもしれません。


「どれくらい特殊で、どれくらい似ていたらマズいのか」というのは、ケースバイケースです。まあネット上でたたかれることにはなっても、トレスなど客観的に完全アウトの証拠がとれるようなものでない限り、法的に問題になることは滅多にないと思いますので、個人的にはカブりを必要以上に気にして、自分の描きたいものを抑えてしまうよりは、多少カブる可能性があっても、おもしろい作品を描く方を優先した方がいいと思います。


気にしてもカブるときはカブりますから!


絵やキャラデザインについてはともかく、ストーリーについては自分じゃなかなか判断が難しいかもしれませんが、個人的には、意図的に盗作しようとしない限り、訴えられるほど似るケースはほとんどないと思いますが・・・
ただ、特に新人のうちって、自分の好きな作品の影響が自分の思ってる以上に大きく出てしまうことはあるので、心配なら「自分が影響受けてるな」と思う作家を知っている友達に、ネームなどを読んでもらうといいかもしれません。


 



以下、ダメだと思われるもの。(私は専門家ではないので、参考程度にどうぞ)


・他人が著作権を持つ絵・写真などをそのまま、あるいはちょっと加工して使う。


基本ダメです。自分の手で描くか、写真は自分が撮ったものなどを使うようにして、人の物を勝手に使うのはやめましょう。


・他人が著作権を持つ絵・写真からの完全なトレス・模写。


「見た感じ似てる」程度の物は大丈夫です。
例えば野球やサッカーのシーンのポーズなどは、どうしたって似たような構図、似たようなポーズになります。トレスしていたらダメですが、多少似てるくらいは問題ありません。


ただ、一般人が撮れない特殊な光景・物の写真等の場合や、かなり個性的な構図を持つものの場合、「完全なトレス」でなくとも、その著作物を元に作成したというのが客観的に見て明らかである場合には、訴えられる可能性があります。


私の知っている例では、かなり特殊な構図の写真を、トレスではないにせよ、忠実に再現した画家が写真家から訴えられたケースがあります。


また、漫画家では、あるファッション雑誌からモデルのポーズ、服装、小物に至るまでそっくり同じ絵を描いた作家が(訴えられたかはさだかでないですが)問題になって、雑誌社がお詫びを出すとかいう騒ぎになっていたのを覚えています。


・商標登録されている商品


たとえばディズニーやサンリオのキャラクターを勝手に作中に描くのはダメです。
ある漫画家さんが、家にあったぬいぐるみをモデルにしてぬいぐるみを描いたところ、それが商標登録されているキャラクター商品で、編集部側で急遽許可をとらなければならなくなった、ということがありましたので、身近な商品をモデルに描く場合は、念のためデザインを少し変えて描くようにするといいでしょう。


・既存企業のロゴマークなど


ロゴやシンボルマークは商標となりますので、そのまま描くのはダメだと思っておいた方がいいと思います。
ただ、かなりありふれたデザインで、本当に偶然似てしまうようなケースについては、問題にはならないかと思います。


・人権などに拘る表現の問題


私が担当さんから注意されたのは、「人でなし」「人非人」という言葉でした。これは言われた相手がロボットだったので、実際に人ではないというジョークで使ったのですが、それでもダメでした。
差別表現につながるとのことです。


あと指や腕、足などが多い少ないなども、実際に障害がある方への差別表現になりかねない、ということでNGであることがあるようです。


身体については、漫画ではいろいろ変わった設定のキャラを描くことが多いので難しいと思いますが、よくある対処法?は「人間ではない」ことにしてしまうというのが多いです。
例えば天使や悪魔、妖精や妖怪、宇宙人なら、どんな容姿であっても「架空の生物」なので、「人間に対する差別」になることはないという理由です。


不法行為


当たり前っちゃ当たり前ですが・・・。最近特に厳しいのは煙草でしょうね。知人の漫画家さんで、見た目明らかに成人済みのキャラクター(40代くらいの男性)に煙草を吸わせるカットを予告カットとして出したところ、少女漫画なので煙草NGになったという話を聞いたことがあります。


「どう見てもオッサンなのに!!」と本人も驚いていました。(よくある、設定はオッサンだけど見た目は未成年に見えるからとかではなく、見た目もちゃんとオッサンのキャラです)


ちなみに作中で吸うのは良いらしくて、何が基準だかよくわかりませんでした。これは編集部によって違いますので、あまり過敏にならなくてもいいと思います。担当がついたら担当さんに確認するようにすればいいでしょう。




あと当然ですが、特定の人種、職業、ジェンダー、民族、国籍、また病気や障害を持つ方などを、それだけを理由に蔑むような表現はダメです。


これは、著者にその意思がなくても、読む人がそう受け取ってしまったらアウトという難しい部分もあります。普段からニュースなどをよく読んで、どういったことが差別につながるのか、自分の中で感覚を磨いておくと良いと思います。


有名なのは「燃えろおにいさん」という漫画で、教師から用務員になったキャラを、「用務員になった」という理由で、生徒がからかったり見下したりする表現があったのですが、実際の用務員さんからクレームが出て、雑誌回収騒ぎになりました。


敢えて問題提起として描きたい場合などは、プロになってからは編集部に相談、志望者のうちは気にせず描いていいと思います。(NGなら編集部がNG出します・・・・たぶん)


個人的には、差別問題などはハレものを扱うように触れないようにするより、著者に著者なりの考えがあるなら、それをきちんと表現してゆくことも、漫画家というか表現者としては、必要なことだと思います。


 


こういった、著作権や表現の問題は、考え出すとキリがないこともあって難しいですが、志望者のうちはあまりこういったことばかりに気を取られるより、まずはのびのび自分が描きたいこと、表現したいものを優先して描いてほしいと思います。


2012.03.14

「絵柄パクり」とは?

最近ちょっと気になる言葉として・・・「絵柄パクり」などと馬鹿げたことを言う人がいるようです。

当然ですが、まず法的に「絵柄」に著作権はありません。「絵そのもの」にはありますけれどね。
なので、少なくとも法的には「絵柄」は「パクってはいけないもの」ではないのです。

が、法的な問題以前に、絵柄というのはパクりパクられて当たり前のものなんです。

こういうことで騒ぐ人は、おそらくは子供(中学生以下)がほとんどだと思います。
ある程度の年月、オタクをやっている漫画好きの人間ならば、どんな名作家も最初は他の作家の影響を、絵、ストーリーともに受けるのが当然ということをよく知っているからです。

たとえば、私の好きな作家の一人に吉田秋生先生がいますが、彼女の最初の方の絵柄は大友克洋先生にそっくりです。また、安野モヨコ先生は、アシスタントをしていた岡崎京子先生に最初の方はよく似た絵柄でしたし、その岡崎京子先生の初期は、大島弓子先生の後期にそっくりです。

高河ゆん先生が出てきた当初(もう25年以上前?)は、本当に絵柄が斬新で爆発的な人気でした。
「作品」ではなく「作風(絵柄も含めた画面構成)」があれだけ一斉風靡をした先生を私は知りません。(手塚先生や石ノ森先生が出てきた当初はもっとすごかったのでしょうが、さすがにリアルタイムで知らないので)
それから何年も、彼女そっくりの絵を描く人がアマプロ両方にあふれ返りました。いくら絵柄に著作権がないとはいえ、あれは本人もさすがに嫌だったと思いますが(苦笑)

高河先生は、おそらく現在のオタク絵の源流になった人だと思います。最近の若い作家さんでも、私などは「高河先生の影響もろに受けてるな」と思ってしまう人が多いですが、あまりに多い&時代を考えて、おそらくは高河先生の影響ではなく、「高河先生の影響を受けた多数の作家さんの影響を受けている」ってことなのでしょう。
その高河先生も、おそらく最初は他の作家さんの影響を受けながら、自分の画風を作り上げていったのでしょう。

「NANA」で有名になった矢沢あい先生も、デビュー当初は紡木たく先生に本当にそっくりの絵でした。ストーリーやコマ割の雰囲気までよく似ていました。
また、「NANA」で見せていたモノクロのはっきりした表現方法は、矢沢先生に限らず、現在はいろんな先生が使っている手法ですが、ああいうモノクロのコントラストで、グラフィックデザインの要素を取り入れセンスよく見せる漫画は、私が知る限りでは「TO-Y」の上條淳士先生が最初です。その上條先生も、江口寿史先生の影響が強いと思われます。
同じく上條先生の影響を受けた方で、こなみ昭子先生というモノクロ画風の先生がいますが、この方は「あまりに似た画風の人が増えた」という理由で、自分の画風を変えています。
このように挙げればきりがないですが・・・。

漫画・・・もっと言えば、美術というジャンルは、そうやって発展してきたものなのです。
盗作はもってのほかですが、「絵柄が似てる」ことを、「パクり」と騒ぎ立てるのは、イラストや漫画がどうやって発展してきたか知らず、自分が「オリジナル」と思っている人も誰かのパクりから出発したことを考えもしない、無知で幼い思考の持ち主です。

まして二次創作やってる人たちがパクりだ著作権だって騒いでいるのを見ると、本当に馬鹿馬鹿しいですね。二次創作自体が壮大なパクりでしかも(無許可の場合は)法的にも盗作ですからね?あれは黙認されているだけですから。黙認=大手を振って盗作していいって話じゃないですから。無許可の同人誌販売で儲けている人など、無断転載などよりよほど悪質だと思います。無許可の二次創作を楽しんでいる人は、少なくとも他人をパクりだなんだと糾弾する権利はないと思います。

何が言いたいかというと、そういうくだらない人たちに遠慮する必要はないということです。

模写のところにも書きましたが、特定の作家にあまりに似すぎている(本人かどうかの区別もつかないほど)場合は、編集部から注意されると思います。
いくら法的に問題がないとはいえ、既存作家と見分けがつかないレベルで似ていることは、その新人を売り出す段階で、ジャマになってしまい、本人のためにも良くないからです。
でも、そこまで似る人は滅多にいませんし、実際に編集部から注意されてからなおすので問題ありません。

好きな作家から学ぶべきところは積極的に学び、模写もやっていきましょう。
似ていてもいいんです。パクリ厨はほうっておきましょう。
実際、絵柄パク厨がいくら騒いだって、公式が謝罪したり回収になったことなんか一度もないでしょう?問題にするようなことじゃないからです。そういうことになるのは、あきらかな盗作のときだけです。絵柄は盗作できません。

これはパクりに限ってのことではないですが、絵を描き漫画を描き、受賞しデビューし、作品が広く公開されてゆくと、どうでもいい文句をつける人は多くなってゆきます。
その中には有益な情報もあると思いますので、完全に耳を閉ざせとは言いませんが、言いがかりのようなクレームをつけたり、馬鹿馬鹿しいことで炎上する人に、まともに対応する必要はありません。
そんな「下層から他人にケチつけるだけが楽しみな人たち」を気にしていては、上に上がれません。

最近の若い中高生は、私たちのころ以上に「空気を読む」「攻撃されない」ために必死で、また相手にも同じことを求めているように思います。LINEやSNSの影響が大きいのだと思いますが。
空気なんか読んでいたら漫画家になれません。漫画家は空気を作り出す立場の人間です。他人の空気に流されていてはいけません。
もちろん、ダメなことはダメですよ。でも、悪くもないことを、「空気を読んで」遠慮する必要はないです。

以前、漫画専門学校に通ってる学生さんが、「周囲はみんな漫画なんて描いてないし、誰も作品を先生に見せたりしていないから、自分だけが作品を描いて見せるのは空気読めないようで気がひける」なんて言っていて、くらくらしました。最悪の空気の読み方です。明らかにおかしいのは周囲です。そんな底辺の輩の空気を読んであわせていたら、自分も底辺に引きずり落とされます。「空気を読む」のは必ずしも良いことじゃないのです。

幼稚なクレーマーは下に放置しておいて、あなたはそんな輩の手の届かない上を目指して頑張ってください。




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