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2012.04.08

トレスってみる

さて、漫画を描く順番としてはストーリーが先なのですが、皆さんが練習するときはやっぱり絵の練習から入る方が多いと思いますので、先に絵の練習方法について説明します。

とりあえず、今までそういった絵を描いたことがほとんどなく、どこから手をつけていいのかわからない方は「トレス」から始めてください。

トレスとは「写し書き」「なぞり書き」のことで、すでにある絵に、うすい紙を載せて、上からなぞって描く練習法です。
ビニールなどでも、とにかく下の絵を透かしながら写し書きできるような紙ならなんでもいいです。

好きな漫画家さんやイラストレーターさんの絵をトレスして、「絵を描く」ということに慣れるまでやってみましょう。

ただ、この練習方法ばかりやるのはおすすめしません。

これはあくまで人が描いたものをなぞっているだけ、自分で描いていることにはなりませんので、こればかりやっても自分自身の画力はあまり上がらないからです。
ある程度「描く」という作業になれてきたなと感じたら、次の模写に練習方法を変更してみましょう。

なお、トレスした絵を「自分で描いた絵」としてネット上に載せたり、どこかに応募してはいけませんよ。
著作権違反となります。


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Posted at 21:20 | トレス | TB(0) |
2012.04.07

模写ってみる

模写は、トレスと違ってなぞりがきではなく、「見ながら描く」ことです。

好きな漫画家さんの絵を横に置いて、見ながらそっくり同じに描いてみましょう。
これはトレスと違い、なかなか難しいと思います。
1コマ描くのに、何時間もかかるかもしれません。
なかなかうまく描けなくていらいらするかもしれません。

でもくじけずにやってみてください。

大学ノート3〜5冊くらい、びっちり両面埋まるほどに模写しまくると、けっこう上達していると思います。
それくらいになると、だんだん漫画などを見なくても、自力で絵を描けるようになってきているのではないでしょうか。

なお、最初は好きなシーンだけとか、顔だけとか、そういうやりやすいところからやってゆけばいいと思いますが、本気で画力向上していきたいなら、1P丸々全部模写するという練習方法がおすすめです。人物だけではなく、背景なども全部描きます。
せりふやスクリーントーンまで手書きで再現しなくてもいいですが・・・。

漫画を一作描いてみればすごくわかることですが、漫画は顔やバストショットだけ描ければいいというわけではなく、全身、いろいろな角度、いろいろなポーズ、老若男女、動物、背景、いろいろ描けなければならないからです。


なお、この時点では「やりすぎるとこの作家さんに絵が似すぎちゃう」「自分のオリジナリティがなくなる」といったことは一切心配しなくていいです。

そういうことはデビュー後に心配をしても充分間に合います。
たまに志望者の人で、「○○先生に似すぎていませんか?パクリだと思われたらどうしよう」と心配している人がいますが、二つの意味で心配いりません。

一つは、「既存作家に絵柄が似てる」というのは新人漫画家では当たり前のことなので、編集部ではほとんど問題にしません。
どんな個性的な作家も最初は誰かの模倣から始まったのです。プロとしてやってゆくうちに個性は出ますので、心配いりません。
ただ、デビューするくらいのレベルで、特定の作家と区別がつかないレベルで似ていると、編集部から注意を受けることがあります。でもそれも、「似てる」という理由でデビューできないとか、そこまでの問題になることはほとんどありません。
なので、実際に編集部から注意されてからなおすくらいで大丈夫です。

二つめには、志望者のほとんどはプロ作家より思いっきりヘタクソなので、本人が思うほど似ていません。ぶっちゃけ、この画力で「似てる」なんて言ったら作家に失礼だろ、という苦笑モノのレベルであることが多いです。
上手になってゆく段階で、いろんな作家の影響を受けていきますので、編集部に注意されるレベルまで特定の作家に似たまんま、という志望者は多くはないです。

というわけで、そのへんは気にせずに、どんどん模写していきましょう。
あと模写もトレスと同じく、自分で描いた絵として発表すると著作権侵害ですのでご注意ください。


Posted at 21:33 | 模写 | TB(0) |
2012.04.06

デッサン

漫画絵を描いていると、「デッサンをした方がよい」という意見をやたらと聞くことになると思います。
それは間違っていないのですが、漫画絵とデッサンは微妙に距離があるので、やたらとやればいいというものでもないと思っています。

まず、「デッサン」とは美術における「素描」のことで、色を塗らず鉛筆や木炭でモチーフを描くことを言います。人間に限らず、動植物や静物などのデッサンも多いです。
美大や芸大の入学試験には必ずこの「デッサン」が含まれます。美術の基礎となるものです。

が、漫画で使われる「デッサン」という言葉は、美術で言うデッサンと若干違う意味合いで使われることが多いです。
まず、漫画で言う「デッサン」は100%「人物デッサン」のことを指します
さらに言うと、「人体の構造」「人体のバランス」というような意味合いで使われることが多いです
「デッサンが狂ってるので、もっとデッサンを勉強してください」というようなことを言われた場合には「人体のバランスがおかしいので、もっと人体の構造を勉強して把握し、バランスがとれた状態で描けるように練習してください」という意味なわけです。


漫画では人体についても、他の物についても、「構造を正しく理解し、不自然でない程度にバランスよく描ける」ことが重要ですので、そこについての勉強は必要です。
ただ、いきなり「構造を理解し」なんて言われて、分厚い美術書を買ってきて開いても、骨やら筋肉やら、妙にリアルなおばちゃんの木炭デッサンやら載っているだけで、それを見てどうしていいかわからないと思います。
美術書は高いですしね。いきなりとりあえず買うのはすすめません。

では、どういう感じでデッサンを学んでいけばいいかというと、私は以下のような感じかなと思います。


1.まずは、好きなように楽しく描く

この記事で書いたように漫画の模写などから始まって、楽しく漫画のお絵描きをするところから始めてゆくとよいです。
もちろん、模写だけじゃなくて、オリジナルのイラストや漫画も描いていきましょう。

でも、ある程度描きなれてゆくと、上述の「人体の構造」について勉強してゆかないと、ちょっと難しいポーズになると描けないことに気がつくと思います。
ここの関節がどうなっているかわからない、ここが不自然な気がするけど、どうしてなのかわからない・・・。

そうなったときに、初めて「人体の構造」について調べてみる、という感じでいいと思います。



2.自分の身体を調べてみる

人体の一番のモデルは自分です。自分の体をよく見て調べるところから始めましょう。
鏡に映して、わからないところをよく見てみる。動かしてみる。さらには触って骨や筋肉がどうなっているのか感じてみる。
デジカメや携帯で写真をとって、モデルにしてみる。



3.プロの表現を参考にする

そして、好きな漫画家やイラストレーターが、身体をどう描いているのか、もう一度じっくり見てみましょう。模写をやってもいいと思います。
難しい肩や腰の動き、腕や足の関節、手や足の指。
なんとなく見ているだけでは気がつかなかった、いろいろなところにこだわりや工夫があるのがわかると思います。微妙なバランス、線の強弱。

漫画やイラストではデフォルメされていますので、必ずしも正しいデッサンで描かれているわけではありませんが、「このように描くことで、それらしく見えるんだ」ということを学ぶことができると思います。


それでもやっぱりよくわからない。ちゃんと骨や筋肉がどうなっているのか知りたい。そうなったら次です。



4.デッサンの本などで勉強してみる

ここでようやくデッサン教本などの出番です。
しかし、ここでもいきなり高い本を買うことはありません。(お金もちは買ってもいいですよ)
お金のない学生さんなどは、学校でも市立図書館でも本屋でもいいので、「デッサン入門」「人体デッサン」みたいな本を探してみましょう。意外とおいてありますよ。デッサン方法なんて新旧でたいして変わらないので、かなり古い本でも大丈夫です。

また、「人体の構造を把握する」が目的ですので、デッサンのやり方を説明している本より、人体の構造についてわかりやすく説明してある本がいいと思います。医学専門書が役に立ったという話も聞いたことがあります。
そうして、自分が「ここがわからない、知りたい」と思うようなことが載っているか調べ、わかりやすく載っている本があれば、お金がない人は借りるところから、お金持ちは買いましょう。

なんでもそうですが「練習」や「勉強」は、それ自体をするためにするものではなく、「目的」を果たすためにするものです。
なので、自分が「上手になるために、これが必要なんだ」という「目的」を自分で発見してからやるのが良いと思います。
人に勉強しろ、練習しろ、と言われて、わけもわからずやってみたところで、自分でその必要性が本当にわかっていなければ、続かないし身につきません。

たまに、質問サイトなどで、練習方法や量ばかりにこだわる人がいます。方法や量はもちろん大切ですが、そこばかりにこだわると練習すること自体が目的になってしまいます。
また「これだけやってれば間違いない」「これが正しい方法」というものはありません。人によって違うからです。なので、安易に他人に正解を求めるのはやめて、自分で自分のための正解を探すことを忘れないでください。



漫画絵に必要なデッサン

ところで、ある程度以上の本格的なデッサンは、漫画では必要はないと私は思います。

・漫画での「デッサン力」…主に「人体の形態」を「不自然なく」「線で描く」力」
・美術での「デッサン力」…「モチーフの形態、質感、量感、立体感、臨場感」を「正確に」「タッチで表現する」力」

全然違うわけではないのですが、実はそれほどカブってないのです。

個人的には、パースや構図、形態を正確に捉える力、また後述する「物を見ぬく力」は共通して必要なので、そこまでは基礎として学んで良いと思うのですが、それ以上になってくると美術と漫画は離れてゆくと思います。

漫画は線で形をとるまでが主ですが、美術のデッサンは「線で形をとる」のはあくまで初期手順でしかなく、一番の肝は「タッチで質感・量感・立体感を表現する」ことです。デッサンの勉強をすると、かなりの時間をそこに費やします。…が、漫画ではそこは必要ないとまでは言いませんけど、あまり使うことのない技術です。

一般的な少年少女マンガなら、線・ベタ・トーンでの表現が主で、影など多少タッチが入ることがあっても、タッチを主体にして量感や質感を表現するような画風になることはあまりありません。リアルになりすぎて少年少女漫画には向かないからです。
青年漫画のようなリアルな作風ならたまにあります。「バガボンド」「テルマエロマエ」なんかいい例ですね。あれはデッサンで学ぶようなタッチが入ってます。ああいう作風を目指すなら、デッサンの勉強をしっかりしておいていいでしょう。

やったらやったで、身になることも多いので、やることが悪いとは思いませんが、漫画には他にもやらないといけないことはたくさんあるので、自分の作風にどこまで必要なのかは、よく考えて学んだ方がいいと思います。

私は美術系の大学を受験しているので、予備校でデッサンは学んでいますが、役に立っているなあと感じるのは、漫画というよりカラーイラストです。カラーイラストは立体感の表現が必要になってくるので・・・。
でも漫画家デビューにカラーイラストの技術は不要です。デビュー後は必要になってきますけれど。なのでやっぱり後回しでもいいかなと思います。


「モノを見抜く力」

あと、美術的なデッサンで、漫画に役立つことがあるとしたら、「モノを見ぬく」力がつくことだと思います
デッサンはたかがリンゴ一個を、コーラ瓶一本を、2時間も3時間も、ひたすら見つめて、その物に向き合います。わずかな形のゆがみ、パース、かすかな陰の色の違い、光の当たり方、そういったものを目を凝らして見つめ、何時間もひたすらストイックに鉛筆や木炭の陰影だけで、表現を追い続けるのがデッサンです。

物を「見る」というのは、絵を描く上で、実は相当に重要で基本的な能力です。
誰もが当たり前のようにできることで、実はなかなかできていないことです。

デッサンをガッツリやると、「なんとなく見る」だけではなく、「物に隠された、絵を描くための情報を読み取る」というようなことができるようになります。
その物が、どういった空間に、どういった状態で、どういった形態で、どういった陰影をもって、存在するのかを、把握する。
そして、それを表現するのに、どのように手を動かし紙に表せばいいのか頭の中で組み立てる、そういったテクニックですね。

デッサンがすべての基礎と言われるのはこのためだと思います。
漫画を描くのに直接的にはどこまで役立つかというのは微妙ではあるのですが、長い目で見たとき、絵を描くのに関連した仕事をするならば、やっておいて絶対に損がない練習です。


デッサンを学ぶなら

デッサンだけは完全独学ではなく、できればちゃんとした先生にならった方がいいと思います。
美術用予備校なら間違いなく教えてもらえるでしょうが、それが難しい人は、学校の美術の先生や、町のデッサン教室みたいなところでもいいので、最初の基礎だけでも習うといいでしょう。
こちらの記事にそのへん書きました。

なお、注意点としては、「正しいデッサン」が必ずしも漫画として良い絵になるわけではありません。
漫画では多少デッサンがおかしくても、「魅力的に見える」方が大事です。
ぶっちゃけ、きっちりデッサンをとると、どうしても躍動感や動きは乏しくなりがちで、堅苦しく面白みのない絵になることがあります。
もちろんどう見てもおかしいのは別ですよ。それはおそらく「魅力的に見えない」と思います・・・。


ですので、デッサンの勉強やクロッキーもやりつつ、漫画の模写をやったり、漫画を描いたりして、「漫画の絵」として魅力的にデフォルメ・表現することも忘れないように練習してゆきましょう。


 



Posted at 21:39 | デッサン | TB(0) |
2012.04.05

背景とパース

けっこう苦手な人が多いと思う背景。
背景が得意になるにはどうしたらいいか、背景を描くのを好きになればいいんです。

背景には二つの役割があります。

1.状況説明
主人公が今どこにいるか。
背景の基本的な役割です。

2.臨場感、雰囲気づくり
背景の美しい漫画を読んでみましょう。
ただの「説明」に終わらず、背景が何かを語っているはずです。
漫画ではありませんが、ジブリのアニメ映画を見たことはあるでしょうか。
どの映画も、背景が素晴らしく美しいでしょう。
とうていただの「説明」ではありません。大切な映画の一部です。

背景というと「人物のオマケ」と思ってしまうかもしれません。
でも「ただの説明」「ただのオマケ」と思って描くのも面白くありません。
どうせ描かなければならないものなら、美しい背景、迫力ある背景を目指すのもいいと思います。

ただ、あくまで漫画の一部ですので、漫画としてのバランスは忘れないようにしましょう。

というわけで、そのバランスですが。
まず、全コマに入れてはいけません。画面がごちゃごちゃして非常に見づらくなります。
必要なところにだけ入れましょう。
どういうところが「必要」なのかは、実際の漫画を読んでみるとだいたいつかめると思いますが、少なくとも

1.最初の1P、主人公がどこにいるのか。
2.場面転換の都度


ここは絶対必要です。その後も、少なくとも1Pに1〜2コマはちゃんと背景を入れるようにしましょう。

あと、ただ描けばいいというものではなくて、最初にあげたように「どういった場所にいるのか」がわかるように描かないといけません。
そこが「汚い場所だ」と言いたいなら、汚く描かなければなりませんし、「自然がきれいな場所」なら、きれいな自然をアピールして描かなければなりません。
明るい話なら明るい背景を、暗い話なら暗い雰囲気の背景を描きます。
雰囲気を盛り上げるのも背景の役目なんです。

また、プロの漫画を見ると、俯瞰(上から)全体を描いてあったり、重要な一部分だけを描いてあったり、時間がわかるように描いてあったり(夜なら暗がりに電灯など)、ちゃんとその場で必要な情報を、必要なだけ描いてあると思います。
よく読んで、勉強してみましょう。

パースについては、すみませんが、中学生のときに美術の授業でやった程度の知識しかありません。
まあ、逆を言えばその程度の知識しかなくても、美術系の大学に合格したり、漫画家としてデビューできるということですが。(レベルはさておき)

というわけで、ここは詳細な説明ができないので、各自ぐぐってください。
「遠近法」「透視図法」こういった言葉で検索すれば、詳しい説明のあるページが出てきます。

私からのアドバイス?としては、特に真面目な人に注意ですが、あまりきっちり透視図法どおりに描かないことをおすすめします。
これは「遠近感がおかしくてもいい」ということではありません。
デッサン同様、「正しさ」より「自然である」「魅力的である」方が優先されるということです。

実は、透視図法どおりきっちりと数値を測って背景を描くと、「不自然」になります。
3Dの映画やゲーム。特に最近のものでなく昔のものをやればわかると思います。現実の世界の遠近感とは違いますよね。
今の技術ですら、3Dで作った建造物の映像と、実際の映像とでは違和感があります。

あれはなぜかというと、人間の目が二つあるからなのです。
わずかにずれた位置に二つ目があるので、透視図法でいうところの消失点等もすべてずれて二つ存在します。
人間は無意識にそのズレを調節しながら物を見ています。人間が見ている世界はズレのある世界であって、「正しい透視図法」の世界ではないのです。

ですので、馬鹿正直に定規できっちりと消失点をとり、きっちり計算どおりに透視図法で背景を描くと不自然になります。
そこは、「不自然でない」方を優先して、多少線をずらすなりして、自然に見えるように調整しましょう。

あと、初心者が忘れがちなのが「人体にもパースがある」ということです。
当たり前なんですけど、人体も立体物である以上パースはあります。これを意識しないといくら良い背景を描けても、人物をその背景に上手に乗せられなくなってしまいます。
人物のパースもちゃんと意識するようにしてください。


「魅力的」についてですが、プロの漫画を読んでみればわかると思いますが、必ずしも正しい透視図法で描かれている背景ばかりではありません。(作者の技術不足でおかしなことになっているのは別として・・)
特に多いのは、わざと広角で描かれている背景だと思います。
これは現実どおりに透視図法で描くと、画面がとても狭く見えるからです。
画面に広がりを持たせるために、なんでもない背景でも、わざと広角めで描く漫画家さんは多いです。

また、戦闘シーンなど動きのあるシーンでは、広角とおりこして魚眼レンズを通したようなパースで描いたり、画面に広がりを持たせるために、広角でさらにかなり大げさな三点透視(現実どおりにパースをとると、大げさな三点透視になることはまずないです。)にしてみたりと、画面を魅力的に見せるために、いろいろな工夫がされています。

漫画は漫画です。建築パースや物理学ではないので、漫画を魅力的に見せる背景をこころがけましょう。

当然、ある程度正しく描ける力がなければ、魅力的どころかめちゃくちゃになってしまいますので、最初は基礎をちゃんと練習しましょうね。


Posted at 22:01 | 背景とパース | TB(0) |
2012.04.05

コマ割

最初に・・・ちょっと注意してほしいのですが、「コマ割がうまくできない」と言っている人の中には、コマ割の問題ではなく、そもそもストーリーの細部が固まっていない、という場合があります。

ネームの段階で最初にコマを割ることになることが多いと思いますが、その段階で詳細なストーリー展開が決まっていないので、何をどう描いていいのかわからず、当然どうコマを割っていいかもわからないという場合です。

これをコマ割の問題と思っていると解決しませんので、自分のネームが進まないのが本当にコマ割の問題なのか、ストーリーの問題なのか、ちゃんと特定するようにしてください。


漫画に関わらずですが、表面上の問題だけを見るのではなく、表面の底に潜む、本当の原因をきちんと特定してゆくというのは大切なことです。
でないと、本当に必要な解決方法ではない方法を模索することになってしまい、時間と労力の無駄なだけなく、間違った方向にいってしまうこともあります。


 


■確認方法


自分がどちらなのか確認する方法としては、もしもざっくりしたプロットしかない場合、そのプロットをもっと細かく詰めて、「脚本」を作ってください。


例:


ごく普通の平和な住宅街の朝の光景。男子高校生(主人公)が学校に遅刻しそうになって走っている。


主人公:「やばい、遅刻する〜」


同時に、女子高校生(ヒロイン)が主人公の走る道路に向かって走っている。


ヒロイン:「もう〜、また寝坊しちゃった〜」


角でぶつかる二人。ぶつかる瞬間、二人の眼が合う。


二人:「やばい、ぶつか…」


二人がぶつかった瞬間、そこからすさまじい爆発が起きる。爆発は住宅街から日本全体、さらには地球全体を包みこむ。


荒廃した日本の光景


モノローグ:この闇の時代はこうして始まったのだった・・・


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このように、「どこで、誰が、何をして、何をしゃべって、誰とどうなって」ということをことこまかに書いてゆきます。これがちゃんとできるなら、コマ割りが苦手、これができないなら、そもそもエピソードがちゃんと作れていない、ということだと思います。


 


■コマ割自体が苦手な場合の練習方法


さて、ストーリーはきちんと固まっているけど、純粋にコマ割という作業が苦手だという場合についてですが。

まずは、漫画をたくさん読み、「ストーリーをコマで表現する」という感覚をつかむのが第一でしょう。
作家によって、コマ割をいろいろ工夫し、中には面白い表現をしている人もいます。
あと、映画も参考になるでしょう。
そもそも、何十年も昔に手塚治虫先生が、それまで単調な四コマ漫画でしかなかった日本漫画に、映画の「カット割」の考え方を導入してできたのが、日本のストーリー漫画です。
そうすると、漫画のコマ割の基礎は映画のカット割にあるのかもしれません。

私はあまり映画みないのでえらそうなことは言えないのですが、映画のカット割は参考になると思います。 


あと、具体的な練習方法としては、まず既存の漫画(なんでもいいから好きな漫画)を、漫画の状態から、脚本にしてみてください。上記のように、登場人物のセリフや動作を文章で書き出します。


そして、その書き出した脚本を、元の漫画を見ずに、漫画の形にしてください。そして後から、自分のやったコマ割りと見比べてみてください。


別に、元にした漫画と同じでなくてもいいのです。ひょっとしたらあなたがやったコマ割りの方がより魅力的かもしれませんから。でも、自分がやった方が読みづらい、盛り上がらないなと思ったら、元の漫画がどういう工夫をしているのか、よく分析してみてください。


その練習をしていけば、じきに「コマでストーリーを表現するコツ」がつかめると思います。



■そのほか、小手先のアレコレ



もう少し小手先的なことも記載します。
私が漫画を描くにあたって注意していることなどです。

1.1Pには5〜7コマ。多くても9コマまで。

これは人によりますので、作風作品にあっていれば別に1P1コマだろうと10コマだろうといいのですが、一般的な普通の作風の読みきりだと、これくらいが一番読みやすいと思います。
9コマというのはかなり見づらいので、できれば7コマくらいまでがいいですね。

2.ただし、最初・クライマックス・最後は1ページ3コマくらいなど余裕をもつ。

最初からコマが詰まってたら読む気がしません。
クライマックスでコマが詰まってたら盛り上がりません。見開き使っていいくらいです。
最後までコマが詰まってたら余韻が残りません。

多少、他を詰める結果になったとしても、この3箇所は余裕をもって、読者の印象に残るようなシーンを描きましょう
漫画は緩急も大事なんです。

3.ページ内でのコマの大きさにメリハリをつける。

まずはそのページで一番大きく見せたいコマを決めて、そこを大きく見せられるように他のコマの大きさを決めてゆくといいと思います。

同じような大きさのコマがただ並ぶと変化に乏しく退屈ですし、全体的に窮屈に見えます。
また、読者もどこに重点をおいて見ればいいのかわからなくて困ります。
自分が漫画を読むときをよく思い出してみたらわかると思いますが、読者もすべてのコマに重点をおいて読むのはとても大変なので、無意識のうちに、「なんとなく読み飛ばしていいコマ」「ちゃんと見るコマ」をわけながら読んでいます。

「ないと困るけど、なんとなく流すだけでいいコマ」は極力小さく、「ここはちゃんと見てほしいコマ」は極力大きく見せるといいでしょう。

4.必ずページの最後に「ヒキ」のコマをつくる。

読みきり作品の場合、作中で「きりがいい」ところを作らないようにしましょう。
きりがいいと、そこで読者が読むのをやめてしまうかもしれません。
全ページとまではいいませんが、できれば奇数ページだけでも、最後に「次のページに続くようなコマ」を入れて、読者にページをめくらせるようにしましょう。

5.読む順番をわかりやすくする。

変則的なコマ割はうまくつかえば効果的なのですが、読む順番がわからないと台無しです。
読者がたてに読み進むのか、横に読み進むのかわからないようなコマ割りになっていないか等注意しましょう。

また、これはフキダシやモノローグも同じです。読者の目の動きにそった順番になっているか注意しましょう。
また、作画にこだわりのある人だと、よくフキダシのシッポを省略しているのを見るのですが、あれは読者からすると誰のせりふかわからないです。
多少不恰好になってもいいから、必ずシッポをつけて誰のセリフかわかるようにしましょう。
読者は作者が思うほど作品のことを理解してくれません。わかってくれると思うこともけっこうわかってくれません。

読者を無駄なところで悩ませたり迷わせたりすると、物語に入り込めなくなったり、気分がしらけたり、読むのがめんどくさくなったりするので、漫画への好感度が落ちます。損ですよ。

演出上わざとわからなくしているなど特殊な場合を除き、必ず読者が迷わず読める配置にしましょう。

6.コマ割でスピード感や緊張感を演出する。

このへんは本当に漫画や映画などから感覚を磨くのが一番だと思いますが。
映画がカット割りでスピード感や緊張感を演出するのと同じく、漫画はコマ割でこういったものを演出します。
スピード感を出したいところは細かいコマを重ねることが多いです。形も鋭角的に変則にすると雰囲気が出ます。
まったり感を出したいところは、正方形や横長の長方形で大きめのコマを並べる感じですね。
一般に、横長のコマは安定感、縦長のコマは緊張感を出しやすいです。
このへんは感覚的なことが大きいですので、いろいろな漫画を読んで研究してみてください。


 


補足


こんなすてきな企画?を見つけました。


漫画家(ほったゆみさん)の方がお題を出して、素人の方が実際にコマを割ってみるというものです。


はじマン はじめての漫画チャレンジ


とても勉強になりますので、ぜひ一緒にやってみてはいかがかと思います。


また、こちらの各作品を読みますと、同じセリフなのに人によってキャラクターや、話の展開まで変わってきてしまっていることに気がつくと思います。


登場人物の服装、表情、動作、セリフ以外のいろいろなもので、物語が変わるのです。登場する作品の多くは、ほとんど絵も描いたことがないレベルの人です。それでも、絵での表現で、それだけのものが変わってきています。


絵がヘタだから〜〜と言って漫画をかかない人がいますが、絵はもちろん漫画では大切な要素ではあるのですが、他にも大切なことが多いことが、こちらを読むとよくわかると思います。


 


実は私、ものごころついたときには、絵本という形ではありますが、物語を描いていまして、7歳くらいのときは漫画を描いていました。


なので、実はコマ割ができないという状況がわからないのです。もちろん、「ここで大ゴマとりたいのに、これじゃ入りきらない」とか、「ここにヒキをもってきたら、この構図で絵を描けるコマを入れられない」とか、そういうところで悩むことはありましたが、コマ割がわからないとか、できない、という気持ちは正直わかりません。


でも、この企画を見る限り、多くの人はやっぱり、ストーリーの細部さえちゃんと決まっていたら、コマ割はできるのだと思います。今中高年までの日本人の多くは漫画を必ず子供の頃に読んでいます。多少でも漫画を読むのがすきな人なら、上手ヘタの差はあっても、コマ割は感覚的にできると思います。


 


なので、漫画家志望だって人が、コマ割をできない、というのは私はやっぱりコマ割じゃなくて、エピソードが定まってないだけではないのかなあ?と思ってしまうんですけどねえ。


ちなみに、私が全部読ませていただいた中では、以下の二つが特に印象的でした。ネタバレを含みますので、読了されてから読んでいただくと良いかと思います。上から目線っぽくなってしまっているのは、こういうブログなのですみませんです。


 


第3回 雪だるまの話:17歳のポンコツさん


セリフどおりの進行なのですが、よく見ると女の子の持ち物がボロいのです。それが一番よくわかるのは最終ページで女の子がカサを広げるところ。(それ以前にもカバンもボロかったりと、ちゃんと伏線があります)


そして、雪だるまに失望して、一人でボロボロの傘をさして帰っていく女の子のランドセルには、ひどい落書きがあります。


そう、彼女は学校でひどいイジメにあっていたのです。きっと人間の友達は一人もいないのでしょう。だからこそ、雪だるまであっても、友達の存在が嬉しかったのです。


それに気づいてから、最初から見直すと、友達ができたんだと思ったときの、女の子の表情がとても活きてきます。心から嬉しそうですよね。


そして、それだけに、最後の一人寂しそうに帰っていく女の子の後ろ姿が、より寂しく効果的に見えます。もうこれを打ってるだけで泣きそうです。


私が上記に書いたようなことは、作中にセリフなどでは出てきませんし、エピソードとしてすらありません。表情や持ち物、女の子の後ろ姿など、純粋に「絵」の力です。


「絵で伝える」ということをよくわからせてくれる作品だと思います。


 


第7回 犬と猿とキジの話:14歳のねこみやわかねさん


やっぱりあの2Pが秀逸かと・・・。すごく印象に残りました。猿が後ろを向いていて犬が正面を向いているのも効果的ですよね。


なかなか、あのお題からああいうコマ割(?)にたどり着かないと思うのですが、こういうのをセンスというのかもしれないですね。


あのお題のなかで、多くの人に一番メッセージとして伝わるのは、あの2Pの犬のセリフだと思います。「伝えたい部分を効果的に伝える」という意味で、非常に大胆で、大成功だと思います。


 


しかし、こういう作品をみると、私のこのブログも含めてですが、学校などで「漫画を教える」というのは難しいことだと思います。


14歳という、まだ感性の若いこの作者が、私が上記に描いているように「1ページ、5〜7コマくらいを目安にしましょう」とか、そういうレクチャーを真面目に素直に受け取ってしまったら、この作品のようなコマ割りは生まれないかもしれません。


よく知らないからこそ自由で斬新な発想が生まれるということはあると思います。


優秀な編集さんなどは、特にデビュー前後のド新人には、敢えて具体的な指導をしないという方も多いです。(私の担当さんもそういう人でした。ダメなものはダメと言いましたが、具体的な指導はナシ・・・)


その編集さんはその理由を「デビューくらいは、人の指導ナシでもできるレベルじゃないと、どうせプロになってやっていけないから」とおっしゃっていましたが、それだけでもなく、漫画慣れした人間の指導によって、自由な発想や可能性を摘んでしまうリスクもあってのことなのかもしれないですね。


 


Posted at 21:29 | コマ割 | TB(0) |
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