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2012.03.12

漫画専門学校について

本来は、「進路の考え方」に入れるつもりだったのですが、こちらだけちょっと特殊な気がしますので、別にいたします。
なぜ特殊かというと、こういった専門学校は「進路」として選ぶべき学校ではないと思うからです。

まず、私は漫画関係の専門学校というものの存在自体、漫画家志望者に良い影響を与えていないと思っています。
それは、こういう学校があるばっかりに、「専門学校に行けば漫画家になれる」「漫画家になるための技術は専門学校などで学ぶもの」という間違った先入観を、中高生の漫画家志望者に植え付けている感が否めないからです。

そんなことを考えている人がいたら、すぐ考えを改めてください。
理由は詳しく下に書いてますが、とりあえず18歳から学校で初めて学ぶのでは遅すぎます。

たとえば美容師や看護師、服飾関係の専門学校などは、専門学校でしか得られない必須の技術や資格があり、業界内でも専門を卒業して就職する道筋がついていますので、これらの専門学校を「進路」として選ぶのは、そういった仕事を目指すなら当然の選択ですが…漫画家はまったくそういう職業ではありません。
専門学校でしか得られない技術や資格はなく、専門を出て漫画家になるような道筋も一切ありません。
専門学校なんかに行ったって、「漫画家」という仕事には何も結びつかないのです。
かといって後述するように、漫画家になれなかったときに役立つことも、ほぼありません。
なので、「進路」としては考えられないのです。

本気で漫画家になりたいなら、通うべきは専門学校ではなく編集部です。
というか、専門学校に行こうとも、編集部に通わなければ漫画家にはなれません。(遠い地方の人は投稿中心になるでしょうが)

中高生が漫画家になるためにやっておくことは、専門学校を目指すことではなく、自分で漫画を描いて自分で編集部に持ち込むことなんです。
このことをよく覚えておいてください。

とにかく学校と名のつく組織に入って安心したいタイプの人や、周囲にお膳立てしてもらわないと何もできません!という人は早いうちに違う道にすすみましょう。漫画家に向いてません。


※2015/11月追記:
先日漫画専門学校の取材をテレビで見ましたら、講師の方が「投稿できる漫画を制作できるようになるのを目指す」とおっしゃっていました。
プロデビューがゴールじゃないんですね。「投稿できる」がゴールなんです。
この専門がたまたまそうなだけかもしれませんが、いろんな専門学校の実績やカリキュラムを見た感想では、どこも同じではないかと思います。だからカリキュラムのレベルが低いんだね・・・。

でもね、漫画を投稿できる、というのは漫画家を目指すうえで、本当に第一歩。下準備中の下準備です。そこから何年も頑張って、やっとデビューできるかどうか、というのが普通の道のりです。

なので、そもそも「漫画家になるための学校」ではないのです。
「漫画家になるための下準備のための学校」なのです。

しかし、漫画家のデビューの旬は二十歳前後、早い子は中学生でデビューする業界です。
多くの本気の漫画家志望者はそのレベルの「下準備」は高校生までに終えています。もちろん独学でね。でないと間に合わないのです。
さらに言えば、18歳にもなって「独学で投稿する原稿が作れなかった」時点ですでに、適性はあまりないです。
わざわざ数百万の学費と何年かの時間をかけて、その第一歩を教えても、適性がない人に手遅れな授業をしてるだけです。

プロになれる人がほとんどいないのは当然だと思いました。





では、おすすめしない詳しい理由です。

1. 専門学校から漫画家になれた人はほとんどいない。

これがすべてですね。
これは専門学校のHPなどで実績を見るとわかると思います。

私も、複数の専門学校のデビュー実績を調べてみました。
実績すら掲載していない学校もあります。また掲載されていても、姉妹校などもすべてひっくるめて、創立以来の累計で掲載しているところが多いので、はっきりとはわからないのですが・・
募集人数や、その学校の創立年数などから、分母を想定すると、だいたいどこの学校も80~100人に1人くらいしかデビューしていません。「アタリ年」なのか、たまたまデビュー者が多いときですら、学年に数人です。

漫画家志望者ばかり数十人集めれば、完全放置しておいてもそれくらいの人数は勝手にデビューします。
なので、学校はまったく関係なく、もともとデビューできる能力のある人だけがデビューしているというだけです。

私は「学校がデビューに何か寄与している」と言うには、少なくとも学年の三分の一くらいはデビューしていないといけないと思います。でもそんな専門学校見たことないです。

漫画家志望ばかり100人集めた中で、自分なら絶対1位になれる!という実力の持ち主なら、デビューできるかもしれませんが、そういう人は学校に行かなくてもデビューできます。
そういう学校に300万以上をかけるか?という話ですね。


2.専門学校で学べる内容は、ほとんど本やネットで独学できる。

今は漫画家になるための本やサイトは山のようにあります。
サイトをかたっぱしから見てまわり、本を数冊買って読み込めば、少なくとも漫画を一作仕上げるくらいの知識は身につきます。
本気の漫画家志望者なら小中学生くらいで、このくらいは済ませています。
だから、小学生で受賞したり、中学生でデビューしている人もいるわけです。そういう人たちもあなたのライバルです。

なのに、18歳にもなってこのレベルのことを学校に行かないと学べないと言うような人は、いろんな意味で漫画家になるのは無理ですよ。

わかりますよね。

ちなみに、私がこういう学校のカリキュラムを見た感想がこちらの記事です。




3.本やネットで学べないことは、持込やアシスタントで学ぶのが一番早い。


実際にどのようにストーリーを組み立てるか、キャラをどう設定し、エピソードをどう作るか、演出はどうするか…そういう「知識」だけではカバーできない部分については、実際に自分で漫画を描いては編集部に持ち込んで批評してもらうというのを繰り替えすのが一番です。
専門学校の先生がほめてくれたって、編集部がOK出さないとデビューはできません。だったら、最初から編集部に見てもらったほうがいいに決まっています。

持ち込みは(交通費以外)無料です!
何度でも行けますし、一つの作品を複数出版社に見てもらうのもできます。(投稿は一社だけですが)
地方から上京しなければならない人でも、専門の学費よりはずっと安上がりなはずです。

たまに、専門学校のカリキュラムで「作品を編集部の人に見てもらえる」というものがあるのですが、なぜ自力で無料でできることを、学校に学費払ってやらなければならないのか意味不明です。

アシスタントも編集部経由で紹介してもらえますよ。もちろんある程度の実力は必要ですが、その程度までも自力でいけない人は専門通っても無理ですから。


「学校で教えてもらえるようなことは独学で学べる」し「独学で学べないようなことは編集部やプロの現場から直接学ぶのが一番早く確実」なんです。
これを一人ではできません、という人は学校なんか行ったって漫画家になるのは厳しいです。




4.学歴としてはほとんど使えない。

漫画家は自営業であり就職しないので、中卒でも高卒でもなれます。なので、漫画家になるためだけなら学歴のことは考えなくてかまいません。
でも、どうせ時間とお金をかけて進学するなら、就職できるような学歴をとっておきたいでしょう。

専門学校は認可校でなければ、そもそも学歴にならないので高卒です。
しかし、認可校でも漫画コンテンツ関連など、多少でも漫画に関係した会社に就職する場合以外では、本当にない方がマシというくらい、使えない学歴です。そしてもちろん、「漫画に関係した会社の就職」なんてそれ自体ほとんどありません。

つまり、漫画家になれなかった場合、就職に大変苦労するということです。
当たり前ですよね。大学と違い、「専門学校」というのはその名のとおり、「その専門の職業に就くため」の学校です。逆を言えば、その職業以外への就職には役に立ちません。それだけしか勉強していないのですから。
漫画家のように「就職しない仕事」のための専門学校なんて、そもそも意味ないのです。
ではいったい何のためにこういう学校があるのかというと、学費集めのためです。

「でも就職率はけっこういいみたいだけど・・」と思った方も注意してください。
専門学校の出している就職率は実態とかなり異なるケースがあるようです。
くわしくはこの記事の後半に体験者の話がありますのでどうぞ。

簡単に言うと「就職率の分母を『就職希望者』だけに限定し、かつ就職できなかった人は『就職希望していなかったことにする』ことで、ほぼ100%に近い数字を出せるということです。
これだと、就職できた人がたとえ学年に1人でも「就職率100%」という数字を出せます。
あと、家事手伝いやフリーターも就職にカウントしている学校もあるそうです。
正しい就職率を知りたければ、専門学校に「昨年度の卒業生数と希望業界に正社員として就職できた人数を教えてください」と聞いてみるといいでしょう。多分答えてくれないだろうけれど。

まあ、データ的なことはともかく、普通に考えてみればわかることです。
あなたが自分の大切なお金を使って人を雇うとき、高偏差値の有名大卒の学生や、難関美大卒の学生を押しのけて、「勉強もせず、デッサンの訓練もせず、金さえ払えば誰でも入れる学校で、落書きみたいな漫画を2年ちょろちょろ描いて、結局プロになれずに、仕方なく就職活動をしている学生」を雇いたいか、考えてみればわかると思います。
そんな子にいったい何の仕事ができるというのでしょうか。自分のお金払って雇えますか?

なので、100人に1人の漫画家になれたらまだしも、なれなかった場合にどうしようもなくなります。
就職しなくても生きていける人や、強力なコネがあってどうにでもなる人以外は、人生詰みかねないです。


 


5.学費だけは300万ほどと短大並み・・・。


これ、本当にひどいと思います・・・。
ちゃんとした美術系大学と、年間でみれば学費ほとんど変わらないんですよ・・・・。

内容を考えると、せいぜい数十万でしょう。
一般的に専門学校の学費ってね、何に対して払うものかといいますと、就職するのに使える「学歴」「資格」ほぼこの二つですよ。
漫画家にはもともと両方不要ですので、「漫画家になる」という目的においては、専門学校はまったく無意味です。

じゃあ漫画家になれなかったときに使える学歴や資格がとれるかっていうと4番に書いたとおり、ない方がマシなレベルです。
もちろん、肝心の「授業内容」ってものがありますが、これも2番と3番に書いたとおり独学を上回るレベルとは思えません。というか、独学でこの程度も学べない人間は漫画家には向いてません。二年学校に通っただけでなれるようなお手軽な職業なら、世の漫画家は苦労しないです、ホント。

少なくとも300万もの価値は絶対ありません。

300万って大変なお金ですよ?あなたの親があなたの将来のためにと、一生懸命貯めたお金です。平均レベルの収入の人が貯めようとすると、何年かかるかって金額ですよ?

それを将来に何もつながらない、「趣味」に遣うのはやめてください。
そんだけお金があるなら、いっそ、そのお金で生活できる間ニートになって、死に物狂いで24時間漫画に費やし、持ち込みに明け暮れる方が大分マシです。





6.漫画家になれるような子は専門学校には行かない



ここまで読んできてわかったかもしれませんが、そもそも漫画家になれるような「自分で努力できる人」は、専門学校に行きません。


自分で調べ、学び、練習し、漫画を描き、投稿し持ち込みし、編集部にもまれてきていれば、私が1〜5番に書いてきたようなことは自分でわかります。
編集部とやりとりして、受賞だ掲載だというレベルにいれば、漫画家として生きていく大変さも身にしみてわかります。
だから、本気で漫画一本に絞る覚悟がある人間は、ひたすら漫画を描きまくり、持込とアシスタントに明け暮れますし、漫画家になれなかったときのことを真剣に考える人なら、学歴として使える学校に進むなり、就職するなり、現実的な道を確保します。

今まで自力でそういう努力をしてこなかった人は、何もしてないから何もわかりません。

独学で何をどこまで学べるか、自分の実力がどれくらいか、漫画家という道がどれくらい厳しいか・・・。わかろうとする努力すらせず、「いつか誰かに教えてもらえる」日をのんびり待っている眠り姫のような子が、安易に「学校に行けば漫画家になれちゃうかも」なんて甘い期待をしちゃうのです。

だから専門卒の漫画家はほとんどいないんです。

80~100人に1人くらいしかデビューしてない、と1番に書きましたけど、あまりに少なすぎます。本気の漫画家志望を集めたなら、たとえ放置していても、10~15人くらいはデビューしていていいと思います。
なので、「専門学校にいる大半は本気の漫画家志望者ではない」というのが実際のところではないかと思います。

もちろん、本気で努力してきたにも関わらず、専門学校に入ってしまう人はいます。
うっかり入ってしまったのか、デメリットを承知の上でそれでも何かしらメリットがあるからか(上京できるとか、親を納得させられるとか)、理由はそれぞれでしょうが。
そういう人が、学年に数人しかいない専門学校出身の漫画家になるのだと思います。
人によっては専門学校に行かない方がデビューが早かったかもしれません。学校に通ったり学校の課題をやっている間、自分の漫画を描いて持ち込んだり、アシスタントに入るほうが絶対上達は早いですよ。

結局、専門学校であっても、そういう人だけがデビューするのです。

「漫画家になれるような人は専門学校には行かない、漫画家になれないような人だけが専門学校に行く。
ただし、たまに漫画家になれるような人がうっかり入っちゃうこともある。そういう人だけがデビューする」


専門学校はそういう場所です。

「漫画家になれないような人を漫画家にしてくれる夢の学校」ではないのです。





すでに専門学校に入ってしまった人は、学校は適当でいいので、とにかく編集部に持ち込みに行ってください。専門学校の空気に飲まれないように。
無駄だと思ったら学校は辞めてもいいと思います。役に立つとしたら、やっぱり編集部以外にネームチェックをしてくれる人を確保できるくらいですかね。

なお、専門学校ではなく、大学の漫画コースとかならば、腐っても「大卒」という肩書きが手に入りますので、一応卒業だけはしておいていいと思います。
学科がアレだとしても、「大卒」の肩書きは社会でかなり使えるのです。




番外:専門学校の講師の先生の言葉

最後に、私などより確実な情報ソースとして、専門学校の講師をなさっている漫画家さんのブログを引用・ご紹介します。こんな思いっきりアンチ専門学校のブログから直リンするのは失礼な気がするので、直リンは避けています。
専門学校のこと以外にも、役立つことがたくさん書かれていますので、志望者の方は読者になられると良いと思います。

※なお、他にも書きましたが私はアンチ専門学校ですが、現場の講師・職員の方を非難・攻撃する気はまったくありません。漫画家として実績を積み、その経験を惜しみなく学生に教えておられる講師の先生には尊敬の念しかありません。ただそのことをもってしても、高額学費の専門学校の存在には疑問符がどうしてもつく、というのが私の考えです。
最後に「p」を足してブラウザにコピペしてください。
http://hkato.sblo.j
「まわり道マンガ道」かとうひろし先生

2013年11月07日記事より以下引用---
「専門学校」という名称がついていると、専門職の養成をしている所で卒業後は「選考した専門職に就職できる」と思いがちです。
美容師とかレントゲン技師とか歯科技工士とか、いわゆる技術職は国家試験などを受けてパスすれば、就職先を見つけてその仕事につくことが出来ます。
しかしマンガ家の場合は、資格試験がありませんし「マンガ家を社員として雇用する会社」などそもそも就職先(*1)がありません。
学校サイドが学生をマンガ家にしてあげたいと躍起になっても、その手段を持たないわけです。
学生達の奮起を促して、持ち込みや投稿を促すという事になりますが、ここで重要なのが本人の「どうしてマンガ家になりたい」度の高さ。
(中略)
「専門学校に行けばマンガ家にしてくれる」と思っている人が、ひょっとして今でもいるかもしれません。
マンガの専門学校に行けば「マンガ家にしてくれる」のではなく、マンガ家になるための「マンガを描く技術や心構え」を身につけさせ「活動を援助」してしてくれるというのが正解です。
本人が動かなければ、マンガ家に限らずどんな職でも一緒だということは理解しておく必要があると思います。

---引用終わり

こちらを読んでいきますと、思ったとおり、自力で漫画描けないのに、「学校いきゃなんとかなる」と入ってきて、結局なんともならない学生さんたちに苦労しておられる様子がよくわかります。
「キャラの落書き程度しかしたことがない人間が、専門学校に入っただけで漫画家にはなれない」といったことも書かれています。
専門学校の利点についても、当然記載していらっしゃいます。
どの学校なのかがちょっとわからなかったのですが、専門学校を検討される際、参考になるかと思います。

私の方で、専門学校の利点と思われる内容は一応、こちらの記事を書いていますので、どうぞ。
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2012.02.06

専門学校のカリキュラム

専門学校について追記。
専門学校に通ったことがない私ですので、一応、記事を書くにあたっては、いくつかの漫画専門学校や、大学のマンガ学科のカリキュラムくらいは確認しています。その感想です。(実際に授業を受けたわけじゃないので、あくまでHP上のカリキュラムからの想定になります)


■「いろんなことをちょっとずつ」はあまり意味がない

一番多いパターンは「いろんなことをちょっとずつ」というカリキュラムです。
デッサン、クロッキー、背景、キャラクターデザイン・・・などはまだいいとして、欲張った学科だと、ここにさらに美術、デザイン、アニメーション、映像、就職対策の授業まで入ってきます。

まず、これらのことを授業で学ぶのが無駄とは言いません。ただし、少なくとも授業だけではまったくモノになりません
授業のレベルがどうこうは別としても、圧倒的に量が少なすぎます
まあ、それは美大などでも同じで、授業だけでプロになれるわけもないので、毎週徹夜するような膨大な課題が出たりするわけですけれど、四年間授業がある大学ですらそんな状況なのに、たった二年しか授業がない専門学校で、こんな「一口ずつ」みたいな授業を受けただけで、いったいそれが何の役にたつんだろう?と思います。

美大や芸大でも「ちょこっとずつ」にはどうしてもなりますが、それでも美大生・芸大生にはまず「高校時代に培ったデッサンと色彩の基礎力」があります。
基礎がある状態で、どう応用するかを紹介されているわけなので、何も基礎がない(美術予備校などに通っていない)専門学校生とはわけが違います。また、同じ「ちょこっと」でも時間的には長いです。大学の授業はたいてい専門より一時限が長く、期間も四年間ありますから。

「とりあえず入り口だけでも示してもらえたら、あとは自力で深めてゆける」人には利点になるかもしれませんが、私は「漫画家になる」という明確な目標があって入学した専門学校で、ちょこっとデザインや美術や就職対策を学ぶことが、どれくらいメリットになるのかわからないです。
デザイナーになりたいなら、デザイン専門に行くべきで、就職したいなら就職できるような専門に行くべきです。漫画専門学校に行った時点でデザイナーや就職やらには不利です。
漫画に役立てるという意味で、デザインや美術をかじるのは悪くないと思いますが、それが本当に漫画専門学校でやるべきことなのか?と考えると疑問符がつきます。
早い話が「中途半端」という印象です。

おそらくは「漫画のことだけしか学べないと、漫画家になれなかったときに不安」とか、「まだやりたいことが漫画なのかイラストなのか他のことなのかよくわからない」とか、そういう学生を想定してそうなっているのでしょうが・・・。
この程度の「ちょこっと」では漫画家になれなかったときに役に立つレベルではないし、やりたいことが絞れていない状態で専門で2年いろんなことをちょこっとかじっても、結局何にもなれません。

「この学校(学科)なら、たくさんのことをいろいろ学べる!」と思って入学される方もいるでしょうが、学べてもプロになれるほどではない、というのは理解しておく必要があるでしょう。そしてプロになれない専門学校なんて意味がないです。


■講義は漫画を描ける人にしか効果はない

確かに、「キャラクター造形論」とか「演出論」だとか、漫画家志望にとっては、魅力的な項目が並んでいます。
私はこれらの講義を聞いたことはないので、どういった内容なのかはわかりません。
ただ、漫画を描いていた者としてはっきり言えるのは、こういった講義がたとえ有益な内容だとしても、それを役立てられるのは、あくまで「実際に漫画を描き続けている人だけ」ということです。

漫画に限らず、スポーツでも仕事でもそうですが、「理論」は「実践」と同時進行でなければ役に立ちません
生まれてから一度もサッカーの試合をしたことがない人に、「サッカー原論」とか「チームワーク構築術」だとかをちょこちょこ2年教えたところで、その人がサッカーをできるようにはなりませんし、当然プロにもなれません。漫画もそれと同様です。

そこで「実践」=「漫画制作」についてはどうなっているのかというと、ある大学の漫画学科では「一年次の集大成として8Pの漫画を制作する」とありました。ある専門学校では2年次の真ん中あたりにオリジナル漫画を制作する、とありました。
そこで「じゃあちゃんと実践についても学べるんじゃん!」と思ってはいけません。

漫画の専門学校のカリキュラムに「漫画制作」があること自体が本来はおかしいのです。
なぜなら、学校の授業ではなく、日々自力でやっていて当たり前のことだからです。
それがわざわざカリキュラムに入っているということは、少なくともそれらの学校では、生徒が「授業以外で漫画を描いていない」という想定をしていることになります。
本気でプロを目指し、漫画だけに集中できる環境の学生が、それはあまりにひどいレベルです。

8Pの漫画なんて、小学校低学年が勝手に描くレベルです。その学校の学費は1年で160万弱です。
18歳で、本気で漫画家を目指そうとする人間が、1年間160万かけた集大成が、8P漫画一本。

あんまりにも・・・あんまりにもひどすぎます。

泣きそうになりましたよ・・・・。でも、そういうレベルを想定したカリキュラムになっている、ということなのでしょう。しかしこれは、到底プロを想定したカリキュラムではありません。




■本気のカリキュラムにできない?

もし本当に本気で、18歳から2年間で、デビューが見えてくるレベルにまで学生を育てるなら、入学直後から上記の講義と同時進行で、「毎週プロット最低3本、毎月ネーム最低3本」くらいはやらせ、入学後2ヶ月以内には30P前後の漫画を完成させて持ち込み、1年次の間に最低5本は持ち込みして担当付きを目標とし、2年次では担当がついた状態でのデビューを個人指導でアシスト」、というようなカリキュラムになると思っています。
ついてこれない子は見捨てるしかないと思います。本気の子に照準を合わせるなら、やる気のない子にかまっていられません。

ていうか漫画専門学校などに通っていない、普通の漫画家志望でも、本気の人はそれくらい自力でやるのが当たり前なんですけどね。
私だって働きながら一年10本くらい投稿・持ち込みしてましたし。大半の有望な漫画家志望者は漫画に関係ない高校や大学に通いながら、それくらいはやってるんですよ。

でも、そんなカリキュラムになっている専門学校は見つけられませんでした。(個人塾など小さい学校ではあるかもしれません。私は大手しか見ていないので)

そりゃそうだろうなと思います。
「今週中にプロット3本、ネーム1本つくってきなさい」と課題を出して、すっとやれるような子はこういう学校に入ってきませんよ。
「え〜。そーゆーの自分でできないから、こういう学校に入学したんですよ〜。ちゃんと初心者にもわかるように、基礎から丁寧に教えてくださいよ〜」というレベルの子が、多いんだと思います。
この記事の6.に書いているとおり、本当に実力とやる気のある子で、そういう専門学校に入ろうという子は多くはありません。

なので、学校としては学費集めをしたければ、「自分では何もできず、やらず、とりあえず学校にすがる子」をターゲットにするしかない。そうするなら、そういう低レベルな子が釣れそうな「なんか親切そうな初心者むけの」授業をするしかない。でないと入学してくれませんからね。金づるを捕まえられません。

でも、プロにはなれない。



ちょっと脱線しますが、この記事の最後で紹介した専門学校の先生のブログには怖い記事がありました。

かとうひろし先生ブログ「まわり道マンガ道」
2014年09月22日記事より以下引用----
私だけが感じるのかもしれませんが、時間が経過するにつれて「マンガ家の先生」が「学校の先生」にスリ替わっていくような気ガしました。
「デビューするための作品創り」が単なる「課題製作」になっていくように思えるのです。

-----引用終わり

これはかなり恐ろしいことです。

普通大学や就職して働いている漫画家志望は、それは必死で作品を作ります。
普通大学で勉強している時間や働いている時間を、「ああ、漫画描きたい」「こんなことしてる場合じゃないのに」ともどかしく思いながら、授業の休み時間、会社の昼休み、少しの時間も無駄にせずに、ネームをつくり、チェックをし、家に帰ればわき目も振らずに漫画を描きます。
それは「仕方なくやらなければならないこと」ではありません。「好きで好きでやりたくて仕方ないこと」なんです。
私も会社勤めしながら漫画描いていたのでわかります。漫画にかけられる時間は、どんなに眠くても他のことができなくても、「至福の時間」でした。

ところが一日中漫画に打ち込める・・・それも専門の先生がつき、資料も見放題の整った環境で・・・そんな「夢のような状態」の、漫画専門学校生が、「漫画はただの課題制作=義務」になってしまっている・・・。

漫画専門学校の学生は、なんと普通大学に通っている漫画家志望より、持ち込み回数が少ないと聞いたことがあります。
それも、専門の学校に通ったゆえの「やらされ感」からくるのかもしれません。
どんな楽しみも義務になっては辛いだけとも言います。

せっかく高額な学費を出し、他の進路の可能性をつぶし、漫画の専門学校にきた挙句が、やらされ感でしぶしぶ課題に追われ、漫画制作が「ただの義務」になって、終わってしまう・・・。
悲しすぎる現実です。漫画を嫌いになるために専門学校に行ったようなものです。

まあ、そんなことになるような学生は、もともと漫画家になれるような資質はなかったとは思いますが、それにしてもあまりにもつらい。



2012.02.05

うらみがあるわけじゃないですが

私が妙に専門学校を毛嫌いする理由のひとつに最近思い当たったのですが、それはこういった専門ビジネスが事実上「弱者ビジネス」の側面を持つからだと思います。


この記事の6番に書いたとおり、勉強ができる子、真剣に漫画家に向かって努力している子は、こういう学校を選ぶことは少ないです。


また、自身が高学歴だったり高収入だったりして、学歴の大切さや仕事を得る大変さを知っている親も、子供をこういう学校にやらせることは、めったにないと思います。


つまり、大変失礼な言い草になるのを承知で言っちゃいますが・・・、


こういう学校に入ってしまうのは「勉強もできず、自分の夢のための努力もできず、進路について真剣に調べることすらできない、自分ではほとんど何もできず判断力もない子


こういう学校に子供を入れてしまうのは「低学歴・低収入で、学歴の大切さも仕事を得る大変さもあまりわからず、子供の進路を真剣に考えたり調べたりすることもできない、経済力も判断力もない親


もちろん例外はあるでしょうが、正直、上記のような親子が犠牲になってしまうケースが多いのでは・・・と思います。これはあくまで推測です。データに基づいたものではありません。


でも、某質問サイトでも、漫画専門学校を検討している子、入ってしまってから後悔している子の多くが上記に当てはまります。


漫画の専門学校は上記のような無力な親子を狙っているとしか思えません。


ある専門学校は学費を調べようとすると、いきなりローンのページにとびました。「お金がない?大丈夫!ローンもあります!」というわけです。こういう学校を検討する家庭の多くが裕福でないことを知っているのでしょう。


でも、経済力も判断力も実力もない子供が、借金を負ってそんな学校に進んでしまったら・・・どうしようもないじゃないですか。莫大な学費と使えない学歴、つぶされる就職・・・。


最近は奨学金をかえせなくて自己破産するニュースもありました。奨学金は借金です。確実に就職できるような学校のためにしか、奨学金なんて借りちゃいけないんです。


親も無力なら、子供を助けてやれません。むしろ子供が就職して親を助けないといけなかった家庭の子だっています。そんな子を、そんな学校にやらせたら家庭崩壊します。


多少でも漫画業界のことがわかる人間なら、上記のようなことは絶対わかります。学校の経営陣はわかっていてやっているんです。


そりゃ、詐欺とまではいいませんよ。専門学校だって別に「必ず漫画家になれる」と確約しているわけではないですし、実際になれる人も数人ですがいます。約束したカリキュラムはちゃんとこなすのでしょうし。それに対してお金を払うかどうかは生徒側の自己責任です。


でも、多少なりとも子供の将来を真面目に考えている大人なら、絶対にやらないことであるのは、間違いないです・・・。(なお、私がここで非難したいのはあくまで経営陣です。講師職員の皆さんを攻撃するつもりはありません。現場の方はおそらく少しでも学生の方の役に立つ内容をと日々苦心されているものと信じています)


社会的弱者につけこみ、子供の夢につけこみ、その子の夢どころか人生を壊してしまう・・・そこが私がこういう学校を嫌う一番の理由かもしれません。


別に親が低学歴だとか貧乏だとか、本人の勉強ができないだとか、そういうことが悪いといってるわけじゃないです。そんなことは漫画家になるにあたってはどうでもいいのです。関係ないのです。問題はそういう資質を持った親子だと、情報力・思考力・判断力もないことが多く、さらにだまされたとき人生のリカバリができないことです。お金持ちと違い取り返しがつかないのです。


だから、別に金持ちにならなくていいし、成績もあげなくていいので、情報を集めてください。ちゃんと考えてください。判断できる力を培ってください。現実を見てください。


とにかく漫画を描いて持ち込んでください。


あなたがちゃんと日ごろ漫画を描いていれば、漫画について勉強していれば、本気で漫画家になるための情報を集めていれば、ちゃんと物事を考えていれば、自分でちゃんと判断できるはずです。一年二年ちょこちょこ学校に数時間通っただけで、プロになれるような仕事じゃないことくらいわかるはずです。講義で教えられることなんて本当に一部でしかないことや、その一部はネットや本で数千円程度で学べることであることも。多くの漫画家は専門学校など出ていないことも。


どこの誰とも知れぬ他人が用意した甘い道にだまされないでください。他力本願しないでください。


今この瞬間にも、あなたが漫画を描いている人なら、専門学校なんか行かなくても自分で道を拓けます。数百万のお金を捨てることはありません。


今この瞬間まで、あなたが漫画を描いていない人なら・・・・少なくとも、「専門学校に行けば道が拓ける」ことはありません。そういう場所じゃないんです。


何もしていない人が、「学校にさえ行けば何か素敵なことがある」と思うのは、「努力できない人の現実逃避の妄想」です。


弱者ビジネスの犠牲にならないでください。つけこまれないでください。大人を信用しすぎないでください。


2015.2.28


2012.02.01

専門学校の利点

一応専門学校の利点についても記載しておきます。

なお、大きな利点は「独学で漫画を完成させられる人」にしか意味がないので、「漫画一作も描いたことないけど、専門に行けば描けるようになるかも~」な人は、やっぱりやめておいた方がいいと思います。


1.堂々と漫画だけに専念できる時間を二年間手に入れられる。

個人的には一番大きい利点です。社会的には「専門学校生」なのですから、働いてなくてもいいし、学校でも家でも堂々と漫画を描いて漫画のことだけ考えていられる。人生でそういう期間はそうありません。
でも多少の世間の冷たい目に我慢できるなら、学費分で二年間ニートを決め込んで、アシスタントと持ち込みしまくる方が、漫画家デビューは絶対早いです。


2.地方住みの場合は上京のきっかけになる。

別に地方住みでも漫画家にはなれますが、できれば編集部に近いほうが持ち込みや打ち合わせに便利だし、アシスタントの口もたくさんあります。
でも、持込もできない、アシスタントもできないレベルの人には意味はありません。
また、親が生活費を出してくれない場合も、バイトで漫画どころでなくなるので、利点にはなりません。


3.編集者以外にネームチェック・指導してくれる人を確保できる。

これも、講師が「アタリ」なら大きな利点です。編集者は担当がつくまでは完成原稿でしか原稿を見てくれませんが、講師の先生なら担当つきになる前の段階でも、プロットやネームの段階でチェックしてくれます。

また、講師の先生が教えるのに長けている場合は、かなりのノウハウを学べる可能性があります。
編集者は「良し悪しの判定」はできても、「指導」は苦手な場合があります。私が「編集者に見てもらったほうが早い・確実」と言うのは、彼らが「デビュー権限を持つ編集部の部員だから」であり、必ずしも指導に優れているからというわけではありません(指導力がある編集者ももちろんいます。なんだかんだ編集部というのは日本で一番漫画指導の実績がある組織ですから)

問題は「アタリ」講師に出会えるかどうかです。確率は低いと思ってください。別に講師の方々が無能って話じゃなく、自分との相性や、雑誌との相性もあるので。

正直、指導に優れた編集者に出会うのと、優れた講師に専門学校で出会うのと、確率的にそう変わらないのではと私は思っています。
編集者が編集部の中で漫画指導能力を身に着けるのと、漫画家が学校で漫画指導能力を身に着けるのと、それほど差があると思えません。
漫画を描いたこともない編集者よりマシという考え方もありますが、描けるから教えられるというものでもないと思います。名選手名監督ならずです。

漫画家としての心構えとか、作業的なことは教えられるかもしれませんが、それならプロのアシスタントで十分です。こういうと失礼ですが、講師の先生の多くは現在の売れっ子漫画家ではありません。アシスタント先の先生は少なくとも現在バリバリ連載中の現役先生で、しかも現場に入れます。そっちの方が学ぶものが多いです。

このあたりのことは、実際にその先生に教わって結果を出さない限り、判断できないことなのですが、入学前にそんなことはできません。
だからこの利点をあまり強く推せないのです。

せめて事前にオープンキャンパスなどで実際に原稿やネームを指導してもらい、講師の力量を確かめておくと良いと思います。これも自力で原稿が描けない人には意味のない利点ですし、専門の講師ってけっこうすぐ辞めちゃったりすることもあるので、入学してみたらその講師はいない、という可能性もありますが。


4.友人ができる。

「同じ夢を持つ仲間」という意味では・・・専門にはあまりいませんよ。だって漫画描いたこともない子も多いそうですし・・・少なくとも本気じゃないですよね、そういう子は。
漫画の能力は別として、普通のオタク友達ならできるかもしれません。
志望者仲間なら、ネットなどで自分と同じくらいのレベルの人を探した方がいいです。雑誌に投稿している人は、ツイッターやブログなどやってることもあります。漫画家志望ってレベル違うと話あわないし。


5.学校によっては専門卒の学歴が手に入る。

認可校でなければ学歴にならないので、そこは調べておいてください。また、この記事に書いたように、基本使えない学歴です。
でも、何の専門かまで書かなくていいような場では、「高卒」よりは多少見栄えがします。また、「専門卒以上」で応募をかけている会社に採用されるかは別として、応募はできます。それは利点といえば利点です。
できれば、履歴書に書く学歴には「デザイン」とかの名称で書けるところがいいですね。漫画とかコミックとか書いてあると、結局学歴としては非常に使いにくいので。


6.入学が楽

難しい受験勉強、デッサンの訓練、漫画の能力、何一ついりません。必要なのはただ一つ、お金だけ!!どんなお馬鹿さんでも、初心者でも、下手っぴさんでも入れます。何の努力もいりません!
ただそういう学校が、どういうレベルなのかは考えておいた方がいいです。


7.漫画の基礎くらいは教えてもらえる

何もわからなかった人でも、2年かけて四コマ漫画の一本くらいは描けるようになるかもしれませんね・・・。Gペンで絵が少し描けるようになるかもしれないし・・・。消しゴムのかけかたとか、枠線の引き方も覚えられるかもしれませんね。
漫画家になれるような子なら小学生のうちにできるようになっていることですけどね。


思いつくのはこれくらいかな。



これらの利点のために、最終学歴と300万犠牲にしてもいいと思えるなら・・・・。強くはとめません。
ただ、その場合は自分で働いて学費出してくださいね。多分自分で払うとなると、半年くらいで退学したくなると思います。そんなもん親に払わせないでください。気の毒すぎます。

なお、この利点のうち、少なくとも3,4,7については、別に全日でガッツリ数百万払って専門学校に通わなくても、夜間や週末だけなど、「部分的カリキュラム」で得ることができるかもしれません。そうすると、学歴もつぶさなくてすむし、経済的にもずいぶん楽になるはずです。
そういったことができるかについては、学校に問い合わせてください。
どうしても専門学校に行ってみたい、独学に限界を感じる…という場合もそれでしのげると思います。

ただ、漫画家デビューって、本当に「かろうじて土俵にはあがった」レベルのことです。
この程度のことが独学でできない人間は、例え何か奇跡がおこって土俵にあがれたとしても、その後土俵で勝ち抜いていけるとは到底思えません。
これは私がデビューしたときの担当さんもそう言ってましたね。デビューが決まったあとに言われたのですが、その担当さん(編集長でした)は「デビュー程度は自力でできる人じゃないと、どうせその後続かないから、デビューするまでは具体的な指導はしなかった」と言ってました。確かにダメだしはしてくれたけど、指導はなかったなあ。

なので、独学でデビューすらできないという時点で、漫画家をあきらめた方が、本人にとっていい人生になるとは思うのですが、まあやるだけやってみたい場合は、この方法でどうぞ。
2012.01.02

それでも専門学校に行きたい場合の選び方

デメリットは十分わかったけれど、それでもどうしても専門学校に行きたいんだ、という人もいるでしょう。

その場合の学校選びですが、私は以下のようなことを考慮して選ぶと良いのではと思います。内容的に「専門学校の利点」とかなり重複しますが了承ください。

なお、しつこいですけど、「まずは自力で漫画を完成させられる」のが最低条件です。


1.東京近郊に住める

地方住みの人の場合、「上京できる」は大きなメリットです。編集部に通いやすくなるからです。アシスタントにも入りやすくなります。ただし、これは親が学費・生活費を出してくれる場合に限ります。バイトしないと生活できないような場合は、地方でも実家にいた方がいいです。東京でバイトで生活しようとすると、間違いなく漫画を描く時間がありません。


2.専門卒の学歴が得られる

専門学校には認可校と無認可校があります。専修学校というのもあり、これも認可校の一種です。
無認可校だと、学歴としてみなされないので、高卒のままになってしまいます。
どうせ高い学費を払っていくのなら、いくら使いにくい学歴でも、とっておきましょう。

少なくとも「高卒」と「専門卒」では応募できる職の数も全然違ってきます。人生何があるのかわからないので、可能性は広くとっておきましょう。


3.学費が安い

この記事で書いたとおり、基本は不要な学校です。少しでも安いにこしたことはありません。
なお、奨学金で行くのだけはホント薦めません。
やめて。
未来の自分に恨まれますよ。



4.就職できそうな学科に転科できる制度がある

可能性は広めにとっておきましょう。たとえば「デザイン科」などに転科できる場合、デザイナーなら専門出身でも(実力次第とはいえ)就職は可能です。
漫画の専門行って、周囲のレベルの低さに、あるいは自分のレベルの低さに愕然として、中退するかどうか悩んでいる人はけっこういます。

一度退学して他の専門に入学しなおしはさすがに経済的にも時間的にもロスが大きすぎますし、せっかく入学金だなんだって払って「高卒」もせつない。
つうか日本では「中退」は「高卒」よりイメージ悪いので、(日本人は継続力をすごく重視する)最初から行かない方がずいぶんマシだったって話になっちゃいますから。


5.学科名に「コミック」「漫画」などの名称が書いてない

これも就職対策ですが。この系統の学校から学歴を活かして就職できるとしたら、「デザイン関連」くらいしかないと思います。(コネがあるとか特殊なのは別として)
デザイン関係で就職したければ、学科名に「デザイン」と入っていると便利です。

そこで「漫画コース」とか「コミック選科」など「漫画のことしか学んでいない」ことがバレるような学科名だと、就職でちょっと不利になります。
重要なのは履歴書に書かなければならない部分なので、「デザイン学科 コミックコース」みたいな場合だと「デザイン学科」まで書けばヨシということでセーフかも。

小手先のセコイ話ですけどね・・・。



6.その学校のカリキュラムが自分にあっている

週にどれくらい授業があるのか、何をどれだけ学ぶことになっているのか、わかる限り調べましょう。
高い学費をとっておきながら、週1~2日しか授業がないなんて学校もあります。

デザインと漫画とアートがごっちゃになっていて、それぞれを細切れでわずかしか学べない学校もあります。(2年しかない専門で、あれもこれもやろうとすると、そりゃそうなります)
何の役に立つのかわからん抽象的な講義が多い学校もあります。

たいていは「漫画制作実習」とか「CG演習」とかそういう何をするのかよくわからない名目になっているので、オープンキャンパスや問い合わせなどで、具体的な授業内容をできるだけ聞きましょう。(講師に任せていれば、学校側ではわからないこともあるかも)そのうえで、自分にその授業が必要なのか、考えてみるといいでしょう。

たびたびご紹介していた専門学校講師のかとう先生の学校は、マンツーマン授業が基本のようで、それは良いと思います。
実技試験がない学校(ほとんどの専門はない)の場合、まったく描けない生徒からデビュー間近の生徒まで同じクラスにいることになりますので、「全員座って同じ黒板を見る」ような授業をやられても、自分に合わない可能性は高いです。

また、上位レベルの人に必要な授業は「プロット、ネームの添削」です。座学ではありません。なので、自分のレベルにあった授業を受けられるのか、よく調べましょう。
※自分は低レベルだから低レベルな授業を受けたいという方がもしいたら、行くのは勝手ですが、低レベルな人間が低レベルな授業を受けてもプロになれないことは理解しておきましょう。

ちなみに私がカリキュラムをいくつか見てみた感想はこちら・・。



7.デビュー実績が多い

その学校でデビューしている人がどれくらいいるのか調べましょう・・・といっても、載せてない学校も多いですけれどね。載せてない場合は、「ほとんどいないんだろうな」と思っておいて間違いないと思います。

気をつけないといけないのは、「デビュー●名!」と華々しく載せているけれど、分母を載せていない場合です。ヒュー●ンとかそうですけれど。あんな全国20校くらいあり、夜間も通信もあるような学校で、創立以来のデビュー人数載せられても、さっぱりわかりません。ざっくり分母を想定したら、結局100人に1人くらいでしたけど。

問い合わせる場合は「昨年度のみ」など絞って聞くといいでしょう。またデビューといっても、小さい企業のチラシに四コマ漫画載せてもらったとか、そのレベルも入れている学校が多いので(デビューには間違いありません)そのあたりも考慮しましょう。

もし学年のうち三分の一くらいデビューしている学校があれば、それはある程度学校に力があると考えていいと思うんですけど、見たことないですね。
たいてい80~100人に1~2人くらいで、「学校がなくても自然にデビューする」と思われる数を超えてはいないです。
だから無駄だと言っているのですが、ひょっとしたら中には実績の高い学校もあるかもしれません。(もし、そういうところがあるとしたら、大手ではなく個人塾みたいなところで、入試に漫画制作などがちゃんとある学校だと思います)



8.指導力の高い講師がいる

専門学校で唯一と言ってよい利点、それは「担当編集がつく前のレベルでも、プロットやネームをチェック・指導してくれる人がいる」ということです。
ネーム指導力が優れた講師がいるならば、それはかなり力強い味方となります。ただ、そういう講師は多くはありませんので、期待はしないように。

本来、プロットやネームのチェックで一番確実で頼りになるのは「編集者」です。しかし、編集者はもともと普通のサラリーマン、必ずしも漫画指導のプロではありません。
彼らが確実であるのは「自分がデビューしたい編集部に属する人間だから」というのが大きいです。デビューしたい雑誌に必要とされているジャンル、絵柄、作風、編集長の好み、雑誌の傾向などをリアルタイムで把握しているのは彼らだけです。それらをもって、原稿をチェックしてくれるので、一番頼りになるのです。

しかし、純粋に漫画を教えるだけとなると、ひょっとしたらもっと優れた人が講師にいるかもしれません。どうせ専門に入るなら、そういう講師のいる学校がいいに決まっています。

オープンキャンパスや学校見学に、完成原稿でもネームでも持ち込んで、実際にチェックしてもらいましょう。その批評が自分に役に立つと思えるなら、その講師がいる学校を選ぶのも一つだと思います。

ただ、これを断ってくる場合は・・・まあ、そういう学校だということで。あと、講師って簡単に辞めちゃうことも多いので、入学してみたらいない、ってこともあるかもね。

これまた、独学では原稿描けません!って人には無理な判断方法ですが、だからそういう人は専門行っちゃいけないんですって。



9.実際に編集者にみてもらえる機会が多い

最近の専門は、漫画雑誌の編集部と提携して、編集者を定期的に呼び寄せて批評会などを開いているようです。

この記事にも書きましたけど、それは本来志望者が無料で自力でできることです。なので、そのために何百万の学費を払って学校に行くのは無駄なのは間違いないです。

でもそれでもどうしても行きたいってなら、せめて編集部に見てもらえる機会が多い学校を選びましょう。漫画家になるためには編集部に漫画を見てもらわないと話になりません。




そんな感じかなあ・・・・。

また、他でも書きましたが、就職できるような大学や専門に通いながら、「夜間・週末だけのカリキュラムをとる」という方法もぜひ検討してください。
私は専門学校の利点を手に入れるのは、それで十分ではないかと思っています。


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