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2012.02.06

専門学校のカリキュラム

専門学校について追記。
専門学校に通ったことがない私ですので、一応、記事を書くにあたっては、いくつかの漫画専門学校や、大学のマンガ学科のカリキュラムくらいは確認しています。その感想です。(実際に授業を受けたわけじゃないので、あくまでHP上のカリキュラムからの想定になります)


■「いろんなことをちょっとずつ」はあまり意味がない

一番多いパターンは「いろんなことをちょっとずつ」というカリキュラムです。
デッサン、クロッキー、背景、キャラクターデザイン・・・などはまだいいとして、欲張った学科だと、ここにさらに美術、デザイン、アニメーション、映像、就職対策の授業まで入ってきます。

まず、これらのことを授業で学ぶのが無駄とは言いません。ただし、少なくとも授業だけではまったくモノになりません
授業のレベルがどうこうは別としても、圧倒的に量が少なすぎます
まあ、それは美大などでも同じで、授業だけでプロになれるわけもないので、毎週徹夜するような膨大な課題が出たりするわけですけれど、四年間授業がある大学ですらそんな状況なのに、たった二年しか授業がない専門学校で、こんな「一口ずつ」みたいな授業を受けただけで、いったいそれが何の役にたつんだろう?と思います。

美大や芸大でも「ちょこっとずつ」にはどうしてもなりますが、それでも美大生・芸大生にはまず「高校時代に培ったデッサンと色彩の基礎力」があります。
基礎がある状態で、どう応用するかを紹介されているわけなので、何も基礎がない(美術予備校などに通っていない)専門学校生とはわけが違います。また、同じ「ちょこっと」でも時間的には長いです。大学の授業はたいてい専門より一時限が長く、期間も四年間ありますから。

「とりあえず入り口だけでも示してもらえたら、あとは自力で深めてゆける」人には利点になるかもしれませんが、私は「漫画家になる」という明確な目標があって入学した専門学校で、ちょこっとデザインや美術や就職対策を学ぶことが、どれくらいメリットになるのかわからないです。
デザイナーになりたいなら、デザイン専門に行くべきで、就職したいなら就職できるような専門に行くべきです。漫画専門学校に行った時点でデザイナーや就職やらには不利です。
漫画に役立てるという意味で、デザインや美術をかじるのは悪くないと思いますが、それが本当に漫画専門学校でやるべきことなのか?と考えると疑問符がつきます。
早い話が「中途半端」という印象です。

おそらくは「漫画のことだけしか学べないと、漫画家になれなかったときに不安」とか、「まだやりたいことが漫画なのかイラストなのか他のことなのかよくわからない」とか、そういう学生を想定してそうなっているのでしょうが・・・。
この程度の「ちょこっと」では漫画家になれなかったときに役に立つレベルではないし、やりたいことが絞れていない状態で専門で2年いろんなことをちょこっとかじっても、結局何にもなれません。

「この学校(学科)なら、たくさんのことをいろいろ学べる!」と思って入学される方もいるでしょうが、学べてもプロになれるほどではない、というのは理解しておく必要があるでしょう。そしてプロになれない専門学校なんて意味がないです。


■講義は漫画を描ける人にしか効果はない

確かに、「キャラクター造形論」とか「演出論」だとか、漫画家志望にとっては、魅力的な項目が並んでいます。
私はこれらの講義を聞いたことはないので、どういった内容なのかはわかりません。
ただ、漫画を描いていた者としてはっきり言えるのは、こういった講義がたとえ有益な内容だとしても、それを役立てられるのは、あくまで「実際に漫画を描き続けている人だけ」ということです。

漫画に限らず、スポーツでも仕事でもそうですが、「理論」は「実践」と同時進行でなければ役に立ちません
生まれてから一度もサッカーの試合をしたことがない人に、「サッカー原論」とか「チームワーク構築術」だとかをちょこちょこ2年教えたところで、その人がサッカーをできるようにはなりませんし、当然プロにもなれません。漫画もそれと同様です。

そこで「実践」=「漫画制作」についてはどうなっているのかというと、ある大学の漫画学科では「一年次の集大成として8Pの漫画を制作する」とありました。ある専門学校では2年次の真ん中あたりにオリジナル漫画を制作する、とありました。
そこで「じゃあちゃんと実践についても学べるんじゃん!」と思ってはいけません。

漫画の専門学校のカリキュラムに「漫画制作」があること自体が本来はおかしいのです。
なぜなら、学校の授業ではなく、日々自力でやっていて当たり前のことだからです。
それがわざわざカリキュラムに入っているということは、少なくともそれらの学校では、生徒が「授業以外で漫画を描いていない」という想定をしていることになります。
本気でプロを目指し、漫画だけに集中できる環境の学生が、それはあまりにひどいレベルです。

8Pの漫画なんて、小学校低学年が勝手に描くレベルです。その学校の学費は1年で160万弱です。
18歳で、本気で漫画家を目指そうとする人間が、1年間160万かけた集大成が、8P漫画一本。

あんまりにも・・・あんまりにもひどすぎます。

泣きそうになりましたよ・・・・。でも、そういうレベルを想定したカリキュラムになっている、ということなのでしょう。しかしこれは、到底プロを想定したカリキュラムではありません。




■本気のカリキュラムにできない?

もし本当に本気で、18歳から2年間で、デビューが見えてくるレベルにまで学生を育てるなら、入学直後から上記の講義と同時進行で、「毎週プロット最低3本、毎月ネーム最低3本」くらいはやらせ、入学後2ヶ月以内には30P前後の漫画を完成させて持ち込み、1年次の間に最低5本は持ち込みして担当付きを目標とし、2年次では担当がついた状態でのデビューを個人指導でアシスト」、というようなカリキュラムになると思っています。
ついてこれない子は見捨てるしかないと思います。本気の子に照準を合わせるなら、やる気のない子にかまっていられません。

ていうか漫画専門学校などに通っていない、普通の漫画家志望でも、本気の人はそれくらい自力でやるのが当たり前なんですけどね。
私だって働きながら一年10本くらい投稿・持ち込みしてましたし。大半の有望な漫画家志望者は漫画に関係ない高校や大学に通いながら、それくらいはやってるんですよ。

でも、そんなカリキュラムになっている専門学校は見つけられませんでした。(個人塾など小さい学校ではあるかもしれません。私は大手しか見ていないので)

そりゃそうだろうなと思います。
「今週中にプロット3本、ネーム1本つくってきなさい」と課題を出して、すっとやれるような子はこういう学校に入ってきませんよ。
「え〜。そーゆーの自分でできないから、こういう学校に入学したんですよ〜。ちゃんと初心者にもわかるように、基礎から丁寧に教えてくださいよ〜」というレベルの子が、多いんだと思います。
この記事の6.に書いているとおり、本当に実力とやる気のある子で、そういう専門学校に入ろうという子は多くはありません。

なので、学校としては学費集めをしたければ、「自分では何もできず、やらず、とりあえず学校にすがる子」をターゲットにするしかない。そうするなら、そういう低レベルな子が釣れそうな「なんか親切そうな初心者むけの」授業をするしかない。でないと入学してくれませんからね。金づるを捕まえられません。

でも、プロにはなれない。



ちょっと脱線しますが、この記事の最後で紹介した専門学校の先生のブログには怖い記事がありました。

かとうひろし先生ブログ「まわり道マンガ道」
2014年09月22日記事より以下引用----
私だけが感じるのかもしれませんが、時間が経過するにつれて「マンガ家の先生」が「学校の先生」にスリ替わっていくような気ガしました。
「デビューするための作品創り」が単なる「課題製作」になっていくように思えるのです。

-----引用終わり

これはかなり恐ろしいことです。

普通大学や就職して働いている漫画家志望は、それは必死で作品を作ります。
普通大学で勉強している時間や働いている時間を、「ああ、漫画描きたい」「こんなことしてる場合じゃないのに」ともどかしく思いながら、授業の休み時間、会社の昼休み、少しの時間も無駄にせずに、ネームをつくり、チェックをし、家に帰ればわき目も振らずに漫画を描きます。
それは「仕方なくやらなければならないこと」ではありません。「好きで好きでやりたくて仕方ないこと」なんです。
私も会社勤めしながら漫画描いていたのでわかります。漫画にかけられる時間は、どんなに眠くても他のことができなくても、「至福の時間」でした。

ところが一日中漫画に打ち込める・・・それも専門の先生がつき、資料も見放題の整った環境で・・・そんな「夢のような状態」の、漫画専門学校生が、「漫画はただの課題制作=義務」になってしまっている・・・。

漫画専門学校の学生は、なんと普通大学に通っている漫画家志望より、持ち込み回数が少ないと聞いたことがあります。
それも、専門の学校に通ったゆえの「やらされ感」からくるのかもしれません。
どんな楽しみも義務になっては辛いだけとも言います。

せっかく高額な学費を出し、他の進路の可能性をつぶし、漫画の専門学校にきた挙句が、やらされ感でしぶしぶ課題に追われ、漫画制作が「ただの義務」になって、終わってしまう・・・。
悲しすぎる現実です。漫画を嫌いになるために専門学校に行ったようなものです。

まあ、そんなことになるような学生は、もともと漫画家になれるような資質はなかったとは思いますが、それにしてもあまりにもつらい。


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