--.--.--

スポンサーサイト

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

2012.04.06

デッサン

漫画絵を描いていると、「デッサンをした方がよい」という意見をやたらと聞くことになると思います。
それは間違っていないのですが、漫画絵とデッサンは微妙に距離があるので、やたらとやればいいというものでもないと思っています。

まず、「デッサン」とは美術における「素描」のことで、色を塗らず鉛筆や木炭でモチーフを描くことを言います。人間に限らず、動植物や静物などのデッサンも多いです。
美大や芸大の入学試験には必ずこの「デッサン」が含まれます。美術の基礎となるものです。

が、漫画で使われる「デッサン」という言葉は、美術で言うデッサンと若干違う意味合いで使われることが多いです。
まず、漫画で言う「デッサン」は100%「人物デッサン」のことを指します
さらに言うと、「人体の構造」「人体のバランス」というような意味合いで使われることが多いです
「デッサンが狂ってるので、もっとデッサンを勉強してください」というようなことを言われた場合には「人体のバランスがおかしいので、もっと人体の構造を勉強して把握し、バランスがとれた状態で描けるように練習してください」という意味なわけです。


漫画では人体についても、他の物についても、「構造を正しく理解し、不自然でない程度にバランスよく描ける」ことが重要ですので、そこについての勉強は必要です。
ただ、いきなり「構造を理解し」なんて言われて、分厚い美術書を買ってきて開いても、骨やら筋肉やら、妙にリアルなおばちゃんの木炭デッサンやら載っているだけで、それを見てどうしていいかわからないと思います。
美術書は高いですしね。いきなりとりあえず買うのはすすめません。

では、どういう感じでデッサンを学んでいけばいいかというと、私は以下のような感じかなと思います。


1.まずは、好きなように楽しく描く

この記事で書いたように漫画の模写などから始まって、楽しく漫画のお絵描きをするところから始めてゆくとよいです。
もちろん、模写だけじゃなくて、オリジナルのイラストや漫画も描いていきましょう。

でも、ある程度描きなれてゆくと、上述の「人体の構造」について勉強してゆかないと、ちょっと難しいポーズになると描けないことに気がつくと思います。
ここの関節がどうなっているかわからない、ここが不自然な気がするけど、どうしてなのかわからない・・・。

そうなったときに、初めて「人体の構造」について調べてみる、という感じでいいと思います。



2.自分の身体を調べてみる

人体の一番のモデルは自分です。自分の体をよく見て調べるところから始めましょう。
鏡に映して、わからないところをよく見てみる。動かしてみる。さらには触って骨や筋肉がどうなっているのか感じてみる。
デジカメや携帯で写真をとって、モデルにしてみる。



3.プロの表現を参考にする

そして、好きな漫画家やイラストレーターが、身体をどう描いているのか、もう一度じっくり見てみましょう。模写をやってもいいと思います。
難しい肩や腰の動き、腕や足の関節、手や足の指。
なんとなく見ているだけでは気がつかなかった、いろいろなところにこだわりや工夫があるのがわかると思います。微妙なバランス、線の強弱。

漫画やイラストではデフォルメされていますので、必ずしも正しいデッサンで描かれているわけではありませんが、「このように描くことで、それらしく見えるんだ」ということを学ぶことができると思います。


それでもやっぱりよくわからない。ちゃんと骨や筋肉がどうなっているのか知りたい。そうなったら次です。



4.デッサンの本などで勉強してみる

ここでようやくデッサン教本などの出番です。
しかし、ここでもいきなり高い本を買うことはありません。(お金もちは買ってもいいですよ)
お金のない学生さんなどは、学校でも市立図書館でも本屋でもいいので、「デッサン入門」「人体デッサン」みたいな本を探してみましょう。意外とおいてありますよ。デッサン方法なんて新旧でたいして変わらないので、かなり古い本でも大丈夫です。

また、「人体の構造を把握する」が目的ですので、デッサンのやり方を説明している本より、人体の構造についてわかりやすく説明してある本がいいと思います。医学専門書が役に立ったという話も聞いたことがあります。
そうして、自分が「ここがわからない、知りたい」と思うようなことが載っているか調べ、わかりやすく載っている本があれば、お金がない人は借りるところから、お金持ちは買いましょう。

なんでもそうですが「練習」や「勉強」は、それ自体をするためにするものではなく、「目的」を果たすためにするものです。
なので、自分が「上手になるために、これが必要なんだ」という「目的」を自分で発見してからやるのが良いと思います。
人に勉強しろ、練習しろ、と言われて、わけもわからずやってみたところで、自分でその必要性が本当にわかっていなければ、続かないし身につきません。

たまに、質問サイトなどで、練習方法や量ばかりにこだわる人がいます。方法や量はもちろん大切ですが、そこばかりにこだわると練習すること自体が目的になってしまいます。
また「これだけやってれば間違いない」「これが正しい方法」というものはありません。人によって違うからです。なので、安易に他人に正解を求めるのはやめて、自分で自分のための正解を探すことを忘れないでください。



漫画絵に必要なデッサン

ところで、ある程度以上の本格的なデッサンは、漫画では必要はないと私は思います。

・漫画での「デッサン力」…主に「人体の形態」を「不自然なく」「線で描く」力」
・美術での「デッサン力」…「モチーフの形態、質感、量感、立体感、臨場感」を「正確に」「タッチで表現する」力」

全然違うわけではないのですが、実はそれほどカブってないのです。

個人的には、パースや構図、形態を正確に捉える力、また後述する「物を見ぬく力」は共通して必要なので、そこまでは基礎として学んで良いと思うのですが、それ以上になってくると美術と漫画は離れてゆくと思います。

漫画は線で形をとるまでが主ですが、美術のデッサンは「線で形をとる」のはあくまで初期手順でしかなく、一番の肝は「タッチで質感・量感・立体感を表現する」ことです。デッサンの勉強をすると、かなりの時間をそこに費やします。…が、漫画ではそこは必要ないとまでは言いませんけど、あまり使うことのない技術です。

一般的な少年少女マンガなら、線・ベタ・トーンでの表現が主で、影など多少タッチが入ることがあっても、タッチを主体にして量感や質感を表現するような画風になることはあまりありません。リアルになりすぎて少年少女漫画には向かないからです。
青年漫画のようなリアルな作風ならたまにあります。「バガボンド」「テルマエロマエ」なんかいい例ですね。あれはデッサンで学ぶようなタッチが入ってます。ああいう作風を目指すなら、デッサンの勉強をしっかりしておいていいでしょう。

やったらやったで、身になることも多いので、やることが悪いとは思いませんが、漫画には他にもやらないといけないことはたくさんあるので、自分の作風にどこまで必要なのかは、よく考えて学んだ方がいいと思います。

私は美術系の大学を受験しているので、予備校でデッサンは学んでいますが、役に立っているなあと感じるのは、漫画というよりカラーイラストです。カラーイラストは立体感の表現が必要になってくるので・・・。
でも漫画家デビューにカラーイラストの技術は不要です。デビュー後は必要になってきますけれど。なのでやっぱり後回しでもいいかなと思います。


「モノを見抜く力」

あと、美術的なデッサンで、漫画に役立つことがあるとしたら、「モノを見ぬく」力がつくことだと思います
デッサンはたかがリンゴ一個を、コーラ瓶一本を、2時間も3時間も、ひたすら見つめて、その物に向き合います。わずかな形のゆがみ、パース、かすかな陰の色の違い、光の当たり方、そういったものを目を凝らして見つめ、何時間もひたすらストイックに鉛筆や木炭の陰影だけで、表現を追い続けるのがデッサンです。

物を「見る」というのは、絵を描く上で、実は相当に重要で基本的な能力です。
誰もが当たり前のようにできることで、実はなかなかできていないことです。

デッサンをガッツリやると、「なんとなく見る」だけではなく、「物に隠された、絵を描くための情報を読み取る」というようなことができるようになります。
その物が、どういった空間に、どういった状態で、どういった形態で、どういった陰影をもって、存在するのかを、把握する。
そして、それを表現するのに、どのように手を動かし紙に表せばいいのか頭の中で組み立てる、そういったテクニックですね。

デッサンがすべての基礎と言われるのはこのためだと思います。
漫画を描くのに直接的にはどこまで役立つかというのは微妙ではあるのですが、長い目で見たとき、絵を描くのに関連した仕事をするならば、やっておいて絶対に損がない練習です。


デッサンを学ぶなら

デッサンだけは完全独学ではなく、できればちゃんとした先生にならった方がいいと思います。
美術用予備校なら間違いなく教えてもらえるでしょうが、それが難しい人は、学校の美術の先生や、町のデッサン教室みたいなところでもいいので、最初の基礎だけでも習うといいでしょう。
こちらの記事にそのへん書きました。

なお、注意点としては、「正しいデッサン」が必ずしも漫画として良い絵になるわけではありません。
漫画では多少デッサンがおかしくても、「魅力的に見える」方が大事です。
ぶっちゃけ、きっちりデッサンをとると、どうしても躍動感や動きは乏しくなりがちで、堅苦しく面白みのない絵になることがあります。
もちろんどう見てもおかしいのは別ですよ。それはおそらく「魅力的に見えない」と思います・・・。


ですので、デッサンの勉強やクロッキーもやりつつ、漫画の模写をやったり、漫画を描いたりして、「漫画の絵」として魅力的にデフォルメ・表現することも忘れないように練習してゆきましょう。


 


スポンサーサイト

この記事へのトラックバックURL
http://tomangamichi.blog.fc2.com/tb.php/78-f9ec41aa
この記事へのトラックバック
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。